2018年11月8日木曜日
位相入門 第1回 ユークリッド空間
位相入門 第1回 ユークリッド空間
で定義する。
集合
に距離
を導入したとき、
または
をn次元ユークリッド空間と呼び、
の元をn次元ユークリッド空間の点という。さらに、
を2点x、yのユークリッド距離という。
平面三角形について、2辺の長さの和は残りの1辺の長さより大きい。このことを一般化して
の3点x、y、zに対して、三角不等式
が成り立つ。
この証明に先立ち、任意の実数
に対してシュワルツの不等式
が成り立つことを証明する。
任意の実数tに対して
が成り立つ。
よって、
さて、
とし、
とおくと、
であるから、シュワルツの不等式より
よって、三角不等式が成り立つ。
を、aを中心としεを半径とする開球体といい、記号
であらわす。
Aを
の部分集合とする。
の点aについて、
となる正の実数εが存在するとき、aをAの内点という。Aの内点全体の集合をAの内部といい、記号
や
などであらわす。Aの内点はAの点なので
が成り立つ。
Aの
に関する補集合
の内点をAの外点という。すなわち、
の点aに対して
となる正の実数εが存在するとき、aをAの外点、Aの外点全体の集合をAの外部といい、記号
で表す。
また、
が成り立つ。
Aの境界点全体の集合
をAの境界といい、
や
などで表す。
定義から明らかなように、Aの境界とAの補集合
の境界とは一致し、
の点aがAの境界点であるとは、どんな正の実数εに対しても
が成り立つことである。
また、定義から、次のことが成り立つ。
問1 次のことを示せ。
【証明】
一般に、
したがって、
ゆえに、aがAの外点であることと、aがAの補集合
の内点であることは同値である。
(証明終)
例 r>0とする。
とすると、
このことはほとんど明らかだが、y∈Aとすると、
よって、
したがって、yはAの内点となり、
また、
なので、
問2 次のことを示せ。
【証明】
aをAの内点とすると、あるε>0が存在して
条件よりA⊂Bだから
よって、Aのすべての内点はBの内点となり、
(証明終)
Aを
の部分集合とする。
の点aについて、どんな正の実数εに対しても
が成り立つとき、aをAの触点という。Aの触点全体の集合をAの閉包といい、
や
で表す。
Aの点はもちろんAの触点であるから、
また、
である。
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