位相入門 第1回 ユークリッド空間
の2つの元に対して、その距離を
で定義する。
集合に距離を導入したとき、またはをn次元ユークリッド空間と呼び、の元をn次元ユークリッド空間の点という。さらに、を2点x、yのユークリッド距離という。
平面三角形について、2辺の長さの和は残りの1辺の長さより大きい。このことを一般化しての3点x、y、zに対して、三角不等式
が成り立つ。
この証明に先立ち、任意の実数に対してシュワルツの不等式
が成り立つことを証明する。
任意の実数tに対して
が成り立つ。
よって、
さて、とし、とおくと、であるから、シュワルツの不等式より
よって、三角不等式が成り立つ。
の点aと任意の正の実数εに対して、の部分集合
を、aを中心としεを半径とする開球体といい、記号であらわす。
は開区間(a−ε,a+ε)であり、は開円板である。
Aをの部分集合とする。の点aについて、
となる正の実数εが存在するとき、aをAの内点という。Aの内点全体の集合をAの内部といい、記号やなどであらわす。Aの内点はAの点なので
が成り立つ。
Aのに関する補集合の内点をAの外点という。すなわち、の点aに対して
となる正の実数εが存在するとき、aをAの外点、Aの外点全体の集合をAの外部といい、記号で表す。
また、
が成り立つ。
の点でAの内点でも外点でもない点をAの境界点という。
Aの境界点全体の集合をAの境界といい、やなどで表す。
定義から明らかなように、Aの境界とAの補集合の境界とは一致し、の点aがAの境界点であるとは、どんな正の実数εに対しても
が成り立つことである。
また、定義から、次のことが成り立つ。
問1 次のことを示せ。
【証明】
一般に、
とおけば、
したがって、
ゆえに、aがAの外点であることと、aがAの補集合の内点であることは同値である。
(証明終)
例 r>0とする。
とすると、
このことはほとんど明らかだが、y∈Aとすると、
とおくと、開球に属するxについて
よって、
したがって、yはAの内点となり、
また、なので、
問2 次のことを示せ。
【証明】
aをAの内点とすると、あるε>0が存在して
条件よりA⊂Bだから
よって、Aのすべての内点はBの内点となり、
(証明終)
Aをの部分集合とする。の点aについて、どんな正の実数εに対しても
が成り立つとき、aをAの触点という。Aの触点全体の集合をAの閉包といい、やで表す。
Aの点はもちろんAの触点であるから、
また、
である。
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