第5回 数列の発散
数列が収束しないとき、数列は発散するという。
数列がaに収束する、すなわち、
をより厳密に定義すると、
となる。
したがって、この否定は
となり、これが数列の発散の定義になる。
これを日本語に翻訳すると、次のようになる。
任意の実数 a
に対し、ある正の数εが存在して、任意の自然数mに対して、m
以上のある自然数n
が存在して、
となる。
の定義は、
論理式で書くと
あるいは
である。
これを、日本語(翻訳数学語?)にすると
任意の実数 K
に対し、ある自然数 m
が存在して、n
≧ m ならば
となる。
の場合は、で定義すればいい。
なのですが、この定義は難しいので、高校数学の発散の分類を紹介することにする。
(1)が正で限りなく増大する場合
(2)が負で、その絶対値が限りなく増大する場合
(3)このいずれにも属しない場合 は不確定
(1)の場合、は正の無限大に発散するといい、(2)の場合、負の無限大に発散するという。
そして、
(3)の場合、数列は振動するという。
こちらの方がわかりやすいのではないか。
正の無限大に発散する例としては、
振動する例としては、
などがある。
紹介したくないのだけれど、数列の収束、発散の判定に便利なので、次の定理を紹介することにする。
定理
ならば
ちなみに、の
b は有限の値。
どれもほとんど明らかなので証明しないけれど、たとえば
この一般項で与えられる数列が収束するかどうかの判定は、
として、
だから、
とすればよい。
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