第1回 2×2の行列の演算1
A、Bを2行2列の行列で、
とする。
以下、特に断りがない場合、2行2列の行列を行列と呼ぶことにする。
行列の相等
A=Bは、対応する成分がすべて等しいこと、すなわち、
である。
行列の実数倍
A=1×A、。また、−A=(−1)×Aと定義する。
行列の和と差
AとBの和と差を
と定義する。
零行列O
行列の成分のすべてが0である行列を零行列といい、記号Oで表す。
すなわち、
である。
また、
が成り立つ。
行列の演算法則1
A、B、Cを行列、hとkを実数とする。このとき、次のことが成り立つ。
これらは、定義からこれらはほとんど明らかだが、証明することにする。
(ⅰ)の証明
(ⅱ)の証明
とすると、
(ⅲ)の証明
(ⅳ)の証明
(ⅴ)の証明
(A+B)+C=A+(B+C)と右辺と左辺の値が等しいので、これをA+B+Cと書くことができる。
同様に、(hk)A=h(kA)と右辺と左辺の値が等しいので、これをhkAと書くことができる。
このことから、行列の等号、和と差、行列と実数の積については、数の演算と同じような演算法則が成り立っていることがわかる。したがって、行列を含む等式は、今まで数式同様な変形が許される。
A、B、Cを行列とするとき、次のことが成り立つ。
問題 XとYがともに2×2の行列で、
であるとき、XとYを求めよ。
【解】
とおくと、
②を2倍し、①の辺々を引くと、
また、②より
(解答終)
【別解】
②より、
これを①に代入すると、
以下、省略
(別解終)
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