2018年2月22日木曜日

第2回 1次変換と行列の積

第2回 1次変換と行列の積


§1 1次変換

xy∈R(実数)のとき、点(x,y)全体の集まりを
  
と表すことにする。
  
の形で与えられる写像を、R²からR²への1次変換という。
この1次変換fは係数行列
  
によって定まる。この行列A1次変換fを表す行列とという。

問題 R²からR²への1次変換fgを表す行列を
  
とする。このとき、合成写像も1次変換であることを示し、を表す行列を求めよ。
【解】
  
とすると、
  
である。
このとき、の写像であり、①と②から
  
となる。
したがって、合成写像は1次変換であり、を表す行列は
  
である。
(解答終)

問題1のを表す行列を行列ABの積ABと定義すれば、次のようになる。
  

§2 2×2の行列の積
  
とするとき、
  
これは模式的に次のように書くことができる。
  
行列Aの1行目の成分、2行目の成分を、それぞれ、Aの1行目の行ベクトル、2行目の行ベクトル、また、Bの1列目の成分、2列目の成分を、それぞれ、Bの1列目の列ベクトル、2列目の列ベクトルと呼ぶことにすると、Ai行目の行ベクトルとBj列目の列ベクトルとの内積が、行列ABの積ABij列目の成分(i,j)に対応していることがわかる。
したがって、
  
さらに、、行列ABの積をCとし
  
とすると、C(i,j)成分は
  
と書くことができる。

ところで、
  
だから、行列ABの積ABに関して
  
は、一般に成り立たないことが分かる。
しかし、ABCを行列、cを実数とするとき、次の法則は成り立つ。
 
【略証】
  
とする。
さらに、行列行列Aij列(i=1,2:j=1,2)の成分を用いて、行列A
と略記することにする。

  
(略証終)

こんな証明、総和記号Σでも使わないと、面倒くさくて、やってられるか(^^

また、
  

§3 単位行列と零行列
単位行列といい、記号EまたはIで表す。
とすると、
  
だから、
  
また、
  
である。

§3 行列の積の拡張

2行2列の行列AB
  
とすると、その積AB
  
さらに、、行列ABの積をCとし
  
とすると、Cij列の成分は
  

2行2列同士の行列の積のこの定義は、そのまま、ml列の行列Aln列の行列Bとの積に拡張することができる。
すなわち、
  
AB=Cとすると、
  
そして、ml列の行列Aln列の行列Bとの積Cmn列の行列であり、そのij列の成分は
  
で与えられることがわかる。

また、
  
と考えれば、①より、ABの積Cn行1列の行列であり、
  
と考えれば、
  
したがって、
  
同様に考えると、
  


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