第26回 ガウスの発散定理
ガウスの発散定理閉領域Sに囲まれた領域Vにおいて、ベクトル関数A(x,y,z)が連続な偏導関数をもつならば、である。ただし、nはSの内部から外部へ向かう単位法線ベクトルである。
ベクトル関数の発散を∇・Aではなく、div
Aという記号を使ってあらわすならば、①は
となる。
また、ベクトル関数Aをベクトルの成分に分けて
とすると、①は次のように書き換えることもできる。
上の式の右辺については、面積分2のところで
になるという話をした。
では、ガウスの発散定理の証明。
【証明】
図のようにVが上の曲面S₂と下の曲面S₁で囲まれているとする。そして、n₂とn₁をそのS₂とS₁の単位法線ベクトルとする。さらにS₂はS₂=φ₂(x,y)でS₁はS₁=φ₁(x,y)で与えられているものとする。DはS₂とS₁の接合面のxy平面上の正射影をDとする。
S₂の各点の法線ベクトルn₂は
と一致するけれど、S₁では向きが違って−n₁になっている。
よって、
同様にして
となり、これらを辺々に足し合わせれば
となり、
である。
この証明なんてわからなくてもいいにゃ。
欲しいのは、ガウスの発散定理だにゃ。
このガウスの発散定理がどれだけすぐれものかというと、次の問題を解くとわかるにゃ。
問題1 Sを原点を中心とする半径aの球の表面x²+y²+z²=a²(a>0)とする。このとき、ベクトル関数A=xi+yj+zkのS上の面積分を求めよ。
【解】
ガウスの発散定理より
ここで、Vはx²+y²+z²=a²で囲まれた領域、0≦x²+y²+z²≦a²、つまり、原点を中心とする半径aの球。
は半径aの球の体積だから、
だから、
問題2 平面x=0、y=0、z=0、x+y+z=a(aは正の定数)で囲まれた三角錐の全表面をSとする。このとき
を求めよ。
【解】
r=xi+yj+zkだから、∇・r=3。
で、ガウスの発散定理から
ここで、Vは平面x=0、y=0、z=0、x+y+z=a(aは正の定数)で囲まれた三角錐。
で、三角すいの体積は、三角形の底面積がa²/2で高さがaなので
よって、
【別解】
面積分を使って真面目に計算するならば、
φ(x,y,z)=x+y+z
とする。
∇φ=
i+j+k=(1,1,1)
になるので、単位法線ベクトルnは
そして、S上では、z=a–x–yだから
よって、
となり、
この問題のSのxy平面の正射影はx+y+z=aにz=0を代入したもの、つまり、x+y=aとx=0、y=0で囲まれる領域、つまり、
D={(x,y)|0≦x≦a,y=a–x}ね。
外積を使ってもいいけれど、それはちょっと大袈裟だろう。
行列式を計算しないといけないし、これを書くのも大変だし(^^ゞ
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