2017年8月21日月曜日

第19回 陰関数の極値

第19回 陰関数の極値


(x₀,y₀)を含む領域Df(x,y)級であるとする。陰関数定理より、ならば、x₀の近傍でf(x,y)=0で定める級の陰関数y=φ(x)がただ一つ存在し、
である。
(1)式をさらにxで微分すると、
ここで、
したがって、f(x,y)Dならば、
である。


問題1 関係式x²–2xy–y²=1で定まる陰関数についてを求めよ。
【解】
f(x,y)=x²–2xy–y²–1とおくと、 だから、
だから
(解答終)


次に、f(x,y)級とし、f(x,y)=0で定まる級の関数y=φ(x)の極値について考えることにする。
y=φ(x)x=x₀で極値を取るとすると、陰関数定理より
また、y=φ(x₀)で極値をとるためには、
したがって、(2)式より、x=x₀におけるd²y/dx²の値は
となる。
よって、
のときy=φ(x₀)は極小となり、
のときに極大となる。

以上のことをまとめると、次の定理になる。

定理
f(x,y)級の関数とし、y=φ(x)f(x,y)=0の定める陰関数とする。
φx=x₀で極値y₀=φ(x₀)を取るならば、
で、
のときy₀は極大値で、のときy₀は極小値である。


問題2 3x²+2xy+2y²=15の定める陰関数yの極値を求めよ。
【解】
とおくと、
3x²+2xy+2y²–15 =0に代入すると、
だから
(x,y)=(−1,3)のとき
(x,y)=(1,−3)のとき
よって、
yは、x=−1のとき極大値3x=1のとき極小値3をとる。
(解答終)

この程度の問題ならば、3x²+2xy+2y²=15xに関する2次方程式と考え、2次方程式の判別式を使って解くこともできる。

【別解】
xに関する2次方程式3x²+2yx+2y²–15=0は実根を持たなければならないので、その判別式をDとすると、
y=−3のとき
同様に、y=3のときx=−1
したがって、yは、x=−1のとき極大値3x=1のとき極小値1を取る。
(別解終)


宿題 3x²+2xy+2y²=15で定まる陰関数yの極値を、1変数関数の微分を用いて求めよ。

この問題を自分で解くと、紹介した定理の有り難みがよく分かる!!


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