2018年8月27日月曜日

最小作用の原理とラグランジュの方程式

最小作用の原理とラグランジュの方程式


§1 ラグランジュの方程式

運動する物体の位置を指定するのに必要な座標一般化座標という。ここで、Nは運動の自由度である。

ラグランジアンが与えられたとき、次の積分を作用積分(ハミルトンの第一主積分)という。
作用積分は、経路を定めると値が定まる。

経路を物体が実際に通る経路とする。さらに、右図のように、この経路Cだけ変化させた経路とする。
2つの経路CC'は始点、終点が同じなので、両端では
である。
この2つの経路に沿った作用積分の差δSは、
一方、変分は同一時刻のにおける2つの経路の差を表しているので、変分と微分と順序を交換することができ、
式(5)を式(4)に代入すると、
だから、(6)式の右辺第1項は0
よって、
作用積分が停留値をとるためにはδS=0でなければならないので、の各係数がすべて0でなければならず、
となる。
これをオイラー・ラグランジュの方程式という。


§2 ラグランジアン

最小作用の原理(ハミルトンの原理)を用いてラグランジュの方程式を導いたのだけれど、§1ではラグランジアンは与えていなかった。
そこで、ラグランジュの方程式とニュートンの運動方程式が一致するように、ラグランジアンLを定めることにする。

物体の座標をで表すと、ポテンシャル(エネルギー)の中で運動する質量mの粒子に対するニュートンの運動方程式は
である。
ここで、U(r)U(x,y,z)の簡略表現であり、
また、
一方、運動エネルギーは
で、これから
となり、ニュートンの運動方程式は
と、運動エネルギーKとポテンシャルエネルギーUを用いて書き換えることができる。
一般化座標をq₁=xq₂=yq₃=zとおけば、
と書くことができる。
したがって、ラグランジアンL
に選べば、ラグランジュの方程式(8)とニュートンの運動方程式(11)は一致する。
また、運動ネルギー、ポテンシャルエネルギーはスカラーだから、ラグランジアンを(13)式で選んでおけば、ラグランジアンもスカラーとなる。したがって、ラグランジュの方程式(8)は任意の座標系で成立する。

実は、
としても、
とラグランジュの方程式は成立する。

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