2018年3月31日土曜日

My Favorite Song: Staple Stable

My Favorite Song: Staple Stable




Orange Mint



デデキント切断

デデキント切断


数の集合SABの2組に分け、A組のすべての数もB組のすべての数より小さくすることができるときとき、この組み分け(A,B)をデデキント切断という。

そして、このデデキント切断による実数Rの連続性の公理。

実数の連続性の公理
Rの切断(A,B)を作るとき、Aの最大数かBの最小数かのいずれか一方だけが存在する。

デデキント切断には次の4つの分割の仕方が考えられる。

(1) A組に最大数が存在し、B組にも最小数が存在する
(2) A組に最大数が存在し、B組に最小数が存在しない
(3) A組に最大数が存在せず、B組に最小数が存在する
(4) A組に最大数が存在せず、B組にも最小数が存在しない

整数全体の集合Zは(1)の分割のタイプ。
仮に、x=nnは整数)で整数全体の集合Zを切断するとする。
x=nA組に属している場合
となり、A組の最大数nであり、B組の最小数はn+1になる。
x=nB組に属している場合
となり、A組の最大数はn−1であり、B組の最小数はnになる。
いずれの場合も、A組に最大数、B組に最小数が存在する。

また、x=1/2と有理数の点でZを切断すれば、
となり、A組には最大値0、B組には最小値0が存在する。

有理数全体の集合Qに関しては、(1)以外のいずれか一方の分割のタイプになる (補足)。
(4)には一見最大数が存在しそうですが、√2は無理数でQの要素ではないので、(4)は次のように書き換えることができる
だから、A組に最大値は存在しない。
x=√2の近くには無数の有理数が存在する(有理数の稠密性)けれど、この場合、Aには最大数、Bには最小数は存在しない。

そして、実数全体の集合Rについては(2)、(3)のいずれか一方のタイプのデデキント切断しかない。
(4)の型のデデキント切断が存在しないというところが実数と有理数の決定的な違い。

(補足)
有理数全体の集合Q、実数全体の集合Rは、(1)のタイプのデデキント切断はあり得ない。
もし、Q(またはR)の切断で生じた、A組に最大数αB組に最小数βがともに存在すると、α<βだから、
一方で
だから、A組かB組のいずれかに属すはずであるが、属していない。これは(A,B)が切断であることに反する。
よって、有理数全体の集合Q、実数全体の集合Rに(1)のタイプの切断はない。

デデキント切断の例
正午、つまり、12:00ジャストは、午前に属するのか、午後に属するのか?
1日を午前と午後とに分けて
(午前、午後)
と(デデキント)切断を作ると、正午は午前(A組)の最大数になるか、正午は午後(B組)の最小数になるかのいずれか。
時間は、一般的に、実数と同様に連続的なものと考えられているから、正午は午前に属するか、午後に属するかのいずれか一方としか答えられない。
裏を返せば、正午は午前か、午後のどちらか一方にすればいいという話だけれど(^^)


2018年3月30日金曜日

第7回 写像

第7回 写像


§1 写像

XYを空でない集合(空集合でない)とする。Xの各要素xに対して、Yの要素をただ1つ対応させる規則をXからYへの写像という。
fXからYへの写像であるとき、
または
などであらわす。
fX→Yであるする。Xの要素xに対応しているYの要素をf(x)で表し、これを写像fによるxという。f(a)=bであるとき、a∈Xfによるb∈Y原像という。
また、Xを写像f始域または定義域、Yf終域または値域(註)という。

【註】
実数全体の集合をRとし、その部分集合A
とし、f(x)=xAからRへの写像が定義されるとする。
このとき、f(x)がとりうる値は0≦f(x)≦1だから、
このBを、y=f(x)=xで定義されるAからRへの写像fの値域という場合もあるので注意。
値域という言葉は無用の混乱を招くので、終域という言葉を使用すべきなのでしょうが、終域ではなく値域という言葉を使う場合もあるので、あえて本文中に値域という言葉も記した。
(註終)

問1 A={1, 2}からB={3, 4, 5}への写像をすべて挙げよ。
【解】
AからBへの写像はf₁f₂、・・・、f₉の9通りある。
a∈Afによる像f(a)との関係を(a,f(a))で表すことにすると、
(解答終)

とするとき、AからBへの写像の(個)数は、(個)である。

問2 とするとき、AからBへの写像の数は、であることを示せ。
【解】
それぞれにm通りの場合があるので、写像の数は
(解答終)

とする。任意のx∈Xに対して、f(x)=g(x)であるとき、fgは等しいといい、
と表す。

Xを写像、A⊂Xとする(AXの部分集合)。
XからXへの写像、f:X→Xが、任意のx∈Xに対して、f(x)=xであるとき、恒等写像といい、記号で表す。
また、f:A→Xが、任意のx∈Aに対して、f(x)=xであるとき、包含写像といい、記号で表す。


§2 合成写像

写像に対して、
によって定義される写像を、fg合成写像という。

問3 f(x)=x²g(x)=2x−1で与えられる、RからRへの写像fgについて、を求め、一般にが成立しないことを確かめよ。
【解】
(解答終)

問4 実数全体で定義された2つの関数
について、次の問に答えよ。
(1) すべてのxに対して
が成り立つとき、直線y=g(x)は常に定点を通ることを示せ。
(2) すべてのxに対して
が成り立つような関数h(x)を全て求めよ。
【解】
(1)
すべてのxに対してf(g(x))=g(f(x))が成り立つので、
よって、y=g(x)
したがって、aの値にかかわらず、y=g(x)は点(1,1)を通る。
直線y=g(x)は定点(1,1)を常に通る。

(2) 問題の条件より
(解答終)

定理12(結合法則)
写像とすると、
【証明】
任意のx∈Xについて、
(証明終)