第8回 全微分に関する問題
問題1 次の問に答えよ。
(1) の全微分を求めよ。
(2) x、yの関数f、gに関して次のことが成り立つことを示せ。
【解】
(1)
(2)
(解答終了)
問題2 次の問に答えよ。
(1) 2辺がa、bである長方形の面積をSとする。a、bがそれぞれΔa、Δb変化したときの面積の変化量をΔSとすると、ΔS=bΔa+aΔbであることを示せ。
(2) △ABCが定円に内接しながら微小変化したとき、3辺a、b、cの変化量をΔa、Δb、Δcとすると
が成り立つことを示せ。
【解】
(1) S=abの全微分は
微小な変化だからΔS≒dS。
よって、ΔS=bΔa+aΔbである。
(別解)
ΔaΔbは、bΔaとaΔbより高次の微小項だから、|Δa|≪1、|Δb|≪1のとき無視することができる。
したがって、ΔS=bΔa+aΔb
(2) 定円の半径をRとすると、正弦定理より
したがって、
同様に、
よって、
da=Δa、db=Δb、dc=Δcだから
(解答終了)
問題2のように、全微分は誤差の評価に応用が可能な場合がある。
問題3 次の関数は原点(0,0)で微分可能か。
【解】
(1) (x,y)=(0,0)における偏微分係数を求めると、
だから、
(h,k)→(0,0)のとき、
であれば、f(x,y)は(0,0)で微分可能、そうでなければ(0,0)で微分可能でない。
h=t、y=tとき、t→0として(h,k)を(0,0)に近づけると、
したがって、f(x,y)は(0,0)で微分可能ではない。
(2)
(x,y)=(0,0)における偏微分係数を求めると、
だから、
とおくと、|h|≦r、|k|≦rだから、
したがって、f(x,y)は(0,0)で微分可能である。
(解答終了)
ちなみに、問題3の関数f(x,y)はいずれも(0,0)で微分可能である。
また、(1)のf(x,y)の、(0,0)におけるθ方向の方向微分係数を求めると、
原点における方向微分係数がθの値によって変化し、1つの値に定まらないので、f(x,y)は(0,0)で微分可能ではない。
同様に、(2)の場合の方向微分係数を求めると、
となり、θの値にかかわらず1つの値に定まるので、f(x,y)は(0,0)で微分可能ということになる。
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