2019年9月25日水曜日

第27回 ニュートン法

第27回 ニュートン法


a a≠0)の近似値を求める方法について考える。
x=√a
の解の1つである。

x₁を√aに十分近い値とし、√a−x₁=h、すなわち、√a=x₁+hとおけば、テーラーの定理から
h|が十分小さいので、の項を無視すれば、
したがって、次の近似式を得ることができる。


(x₁,f(x₁))における曲線y=f(x)の接線の方程式は
そこで、y=0とすると、
図形的に言うと、曲線y=f(x)(x₁,f(x₁))における接線とx軸との交点のx座標をf(x)=0の解に近似したものと考えることができる。

f(x)=x²−af'(x)=2xなので、
となる。

さて、
とおくと、相加平均≧相乗平均より
また、√a<x₁とすると、
であるから、
とおいたとき、
となり、x₂x₁よりも√aに近い値。
さらに、
とおけば、
と、繰り返し計算すればするほどが√aに近づいてゆく。
このようにして得られた数列は下に有界な狭義単調数列なので極限値をもつ。その極限値をβとすると、
(2)式より
の極限値が√aである。

(2)式を用いて、√10の近似値を求めることにする。
x₁>√10を満たすように、x₁=4とすると、
10≒3.1623なので、3、4回計算すると、この値に到達してしまう。

このように、
とし、方程式f(x)=0の近似解を求める方法をニュートン法という。

問1 f(x)=x³−aとして、を求める(漸化)式を作り、の近似値を求めよ。
【解】
だから、
a=4x₁=2とすると、
なので、3回計算することによって、小数点第4位まで正確に求められていることがわかる。
(解答終)

問2 とするとき、
で定める数列は単調減少数列で、
であることを示せ。
【解】
だからa>0

まず、任意の正の整数に対して、
であることを示す。

(ⅰ) n=1のとき、
(ⅱ) n=kのとき、とすると、
仮定より、だから、
したがって、
任意の正の整数に対して、

単調性については

したがって、
となり、数列は下に有界な単調減少数列。よって、は極限値を有する。
よって、
(解答終)


定理 (ニュートン法)
関数f(x)[a,b]で2回微分可能で、f(a)=0f'(a)≧0、かつ、開区間(a,b)f''(x)>0であるとする。このとき、数列
で定めると、は狭義単調減少でaに収束する。
【証明】
仮定よりa<x<bf''(x)>0であるから、f'(x)[a,b]で狭義単調増加であり、f'(a)≧0より、
したがって、f(x)[a,b]で狭義単調増加なので、

次に、が定義でき、すべての正の自然数nに対して
であることを数学的帰納法を用いて示す。

(ⅰ) n=1のとき、x₁=bなので、a<x₁≦bである。

(ⅱ) n=kのとき、
が成り立つと仮定する。
すると、テーラーの定理より
となるが存在する。
これにf(a)=0を代入すると、
仮定よりなので、だから、
また、
ゆえに、n=k+1のとき
したがって、すべての正の整数に対して
である。

任意の正の整数nに対して
だから、は下に有界な狭義単調数列となり、は極限値をもつ。
そこで、
とおくと、
漸化式より、
f(x)f'(x)は連続なので、

よって、β=aである。
(証明終)


上記の定理の条件を満たさなくても、ニュートン法を用いて方程式f(x)=0の近似解を求めることができるが、計算過程でになったりすると計算できないので注意。
また、f(x)=x³−3x²+x+3のとき、計算の初期値にx₁=1をとると、
なので、
と無限ループに嵌り、永遠に計算が終わらない事態が発生する。(下図参照)
x₁0.8<x₁<1.2くらいにとると、この無限ループに嵌り込むようです。同様に、x₁として2に近い値をとると、この無限ループに嵌り込み、計算が収束しない。



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