2019年9月23日月曜日

第25回 ランダウの記号と漸近展開

第25回 ランダウの記号と漸近展開


§1 無限小、無限大

aを実数、または、±∞とする。
ならば、x→af(x)無限小であるという。
ならば無限大であるという。

関数f(x)g(x)が点aにおいて無限小のとき、
であるという。
f(x)が同位の無限小であるとき、f(x)g(x)α位の無限小といい、α位数という。

例1
だから、sinxxは同位の無限小で、1−cosx無限小でxの2位の無限小である。
また
だから1−cosxxより低位の無限小である。

関数f(x)g(x)が点aにおいて無限大のとき、
であるという。

問1 x→0のとき、次の無限小を小さい順にならべよ。
【解】
だから、xsin xは同位の無限小。
これは∞/∞の極限だから、ロピタルの定理より
よって、x²logx|はxより高位の無限小である。
(解答終)

§2 ランダウの記号

x→aのときにf(x)g(x)の比f(x)/g(x)が有界にとどまるならば、すなわち、ある定数Mがあって、点aの近傍の任意の点x(≠a)について
ならば、このことを
で表す。
特に、0でない極限値をもてば、である。
また、
のとき、
で表す。
このΟοランダウのビッグオーランダウノスモールオーと呼ぶ。(実は、Οοはギリシア文字であるオミクロンの大文字、小文字!!)

例2
だから、
である。

例3 のとき、
だから、
である。
というか、これは定義。

例4 
だから、

f(x)g(x)φ(x)Ψ(x)は点aの近傍で定義された関数で、x→aのときψ(x)=o(g(x))であり、
であるとする。
このとき、ψ(x)o(g(x))であるすべての関数を代表していると考えられるので、o(g(x))をあたかも関数のように
と表すことがある。
同様に、
のとき、
と表す。

さらに、f(x)g(x)h(x)が点aの近傍で定義された関数で、x→aのときφ(x)=o(g(x))ψ(x)=o(h(x))であり、
であるとき、
また、
であるとき、
と表す。

§3 ランダウの記号の性質

定理 (ランダウ記号の演算)
mnを正数とする。x→0のとき、次のことが成り立つ。
【略証】
(略証終)


§4 漸近展開

定理 (漸近展開)
f(x)は、0を含む区間I級とする。このとき、
[証明]
マクローリン(テーラー)の定理より、関数fは、任意の点x∈Iで、
であるθが存在する。
よって、
ここで、
とおく。
x→0のときθx→0で、f級だから
よって、
である。
したがって、
(証明終)

以下に代表的な関数の漸近展開を示す。

ここで、
である。


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