2018年9月10日月曜日

循環座標と保存則

循環座標と保存則


一般化運動量という。

ラグランジアンに座標が含まれていないとき、この座標循環座標という。このとき、ラグランジュの方程式は
となり、一般化運動量は保存される。

例1 3次元空間内の自由運動
このとき、運動エネルギーKとポテンシャルエネルギーUは、
なので、ラグランジアンは
ここで、mは質点の質量。
一般化座標q₁=xq₂=yq₃=zとおけば、
となり、ラグランジアンはを含んでおらず、は循環座標になる。
したがって、
となり、運動量は保存される。

例2 平面中心力場の運動
このとき、運動エネルギーKとポテンシャルエネルギーU
したがって、
ラグランジアンLθは含まれないので、θは循環座標。
したがって、一般化運動量

ところで、θ方向の速度成分をとすると、
となるので、
となり、一般化運動量は角運動量。
したがって、この場合、角運動量が保存される。

は面積速度なので、この場合、面積速度も保存される(^^ゞ。
ケプラーの法則で出てくる面積速度一定の法則(?)は、角運動量保存の法則のことだから、このことは言わずもがな。

ところで、この平面上に2次元のデカルト直交座標系を設定すると、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーは次のようになる。
したがって、ラグランジアンは
となり、循環座標は存在せず、一般化運動量は保存されない。
話が矛盾しているような矛盾してないような・・・。
お前ら、俺が納得するような説明をコメント欄に書いて、送信するにゃ。

問 を極座標に変換することによって、を導け。
【解】
xy座標と極座標の間には、x=rcosθy=rsinθという関係がある。これをtで微分すると、
したがって、
よって、
(解答終)

また、という関係があるので、
よって、平面上の中心力場の極座標で表されたラグランジアンは
運動エネルギーK、ポテンシャルエネルギーU、そして、ラグランジアンL=K−Uはスカラー(大きさだけをもつ量)だからこのように簡単に変換できるってわけ。


例3 ラグランジアンに時刻tを陽に含まない場合
この場合、であるので、
したがって、
また、
だから、
デカルト直交座標の場合、
となるので、これを(6)式に代入すると、
よって、力学的エネルギーの総和が保存される。

例1、例2もラグランジアンに時刻tが陽に含まれていないので、力学的エネルギーが保存されている。
次回に登場することになるが、(6)式の左辺
はハミルトニアン!!


中心力を受ける質点の(ニュートンの)運動方程式の一般形は、ベクトルで書くと次のようになる。
mは質点の質量、rは質点の位置ベクトル、rは位置ベクトルrの大きさ、つまり、中心からの距離。f(r)rだけの関数。そして、r/rは位置ベクトルrの正の方向の大きさ1のベクトル、つまり、r方向の単位ベクトル。
運動量ベクトルp
を用いて①を書き換えると、
になる。
したがって、位置ベクトルrと③との外積をとると、
ここで、記号×は外積(ベクトル積)を表す。
一方、
になるのだけれど、pは平行だから、
なので、⑤は
となる。
これを④に代入すると、
ゆえに、
中心力場の場合、角運動量ベクトル
は、時間によって変化しない。つまり、角運動量は保存される。
このように、ニュートンの運動方程式を用いて、中心力場においては角運動量が保存されることを証明することも可能。

なお、中心力でなく、質点がFという力を受ける場合、運動方程式は次のようになる。
位置ベクトルrと⑧の外積をとると、
⑨の右辺は角運動量の単位時間あたりの変化で、右辺は力のモーメント。
力のモーメントをM=r×Fで表わせば、
この式は何を表しているかというと、単位時間あたりの角運動量の変化は力のモーメントであるということを表している。
高校の物理では、
と習ったと思うけれど、これが高校の物理で習った(?)上の公式の証明である。


ニュートンの運動方程式からエネルギー保存則を導くケロ

ニュートンの運動方程式
の積分について考える。
(1)の両辺との内積をとり、時刻tについて積分すると、
ここで、
であり、Cは移動経路。

(2)式の右辺の(線)積分は一般に移動経路(軌道)Cによって変わるが、が保存力、すなわち、
の場合、この積分は経路によらず、
と、始点と終点のポテンシャル(エネルギー)の値によって定まる(註)。
(2)と(3)より、
よって、
運動エネルギーとポテンシャルの和、すなわち、力学的エネルギーは、時間によらず一定。。

積分ではなく、微分を使うならば。
保存力場の場合、ニュートンの運動方程式は、
よって、


(註)
ストークスの定理より
閉曲線C=C₂+C₂と分割すると、
よって、この積分の値は経路によらない。

あるいは、物理的に
と、おおらかに(^^)


(*)
また、
だから、(形式的に)
になる。

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