第6回 連続関数の積分可能性
定理7 (有界閉区間上の連続関数の積分可能性)
関数f(x)が有界閉区間I=[a,b]上で連続であれば、f(x)はI上で積分可能である。
【証明】
f(x)は有界閉区間I上で連続だから、f(x)はI上で一様連続である。
したがって任意の正数ε>0に対して、ある正数δが存在して
|Δ|<δであるIの任意の分割をとると、におけるf(x)の振幅は
よって、
したがって、
となり、f(x)はI上で積分可能である。
(証明終)
定理8
関数f(x)、g(x)が有界閉区間I上で連続で、
かつf(ξ)>g(ξ)となるξ∈Iが存在するならば
である。
【証明】
とすると、条件より
で、h(ξ)>0となるξ∈Iが存在する。
f(x)とg(x)がI上で連続だからh(x)もI上で連続。
よって、ξ≠aかつξ≠bのとき、|x−ξ|<δでh(x)>0である正数δが存在し、
ξ=aのとき、a≦x<a+δでh(x)>0である正数δが存在し
ξ=bのとき、b−δ<x≦bでh(x)>0である正数δが存在し
(証明終)
例 閉区間[0,1]で定義される
とg(x)=0(x∈[0,1])があるとする。
f(x)、g(x)は[0,1]上で積分可能で
つまり、有界閉区間I=[a,b]上で積分可能な関数f(x)、g(x)の場合、f(x)≧g(x)かつf(ξ)≠g(ξ)であるξ∈Iが存在するという場合でも
の等号を外すことはできない。
しかし、I上で連続な関数f(x)、g(x)のとき、f(x)≧g(x)かつf(ξ)≠g(ξ)であるξ∈Iが存在する場合、(2)式の等号が外れて
となる。
有界閉区間I上で連続という条件のほうが、I上で有界かつ積分可能という条件よりも強い条件というわけ。
定理9 (積分の平均値の定理)
f(x)が有界閉区間I=[a,b]上で連続であるとき
となるξが存在する。
【証明】
f(x)が定数関数であるときは明らか。
そこで、f(x)は定数関数でないとする。
f(x)はI上で連続だから最大値Mと最小値mが存在する。
よって、中間値の定理より
となるξが存在する。
(証明終)
例2 f(x)、g(x)はともにI=[0,1]上の関数で、f(x)=x、
とする。
このとき、
f(x)は[0,1]上で連続だから、ξ=1/2のとき
となり、上の定理が成立するけれど、I上で連続でないg(x)には
であるξは存在しない。
有界閉区間で連続という条件が積分可能性よりもかなり「強い条件」であることがわかってもらえるのではないだろうか。