第5回 積分可能であるための条件
リーマン和に基づく積分可能の定義は以下の通り。
(リーマン)積分の定義
関数f(x)は有界閉区間[a,b]で有界とする。
任意の分割Δとそのそれぞれのの任意のに対して
であるとき、関数f(x)は[a,b]で積分可能といい、
とあらわす。
不足和、過剰和の定義は次の通り。
不足和、過剰和の定義
fを有界閉区間[a,b]で定義された有界関数とする。[a,b]の分割、とおく。分割Δに対してとおくとき、
を、それぞれ、f(x)のΔに関する不足和、過剰和という。
上積分、下積分の定義は次の通り。
上積分、下積分の定義
関数fが有界閉区間I=[a,b]で有界であるとする。
過剰和S(Δ)について、すべての分割に関する下限
をf(x)のI上の上積分という。
不足和s(Δ)について、すべての分割に関する上限
をf(x)のI上の下積分という。
関数の振幅(振動量)の定義は以下の通り。
関数の振幅の定義
有界閉区間I=[a,b]上の有界な関数f(x)に対して
をf(x)のI上の振幅(振動量)という。
定義を再掲したところで、積分可能性の必要十分条件に関する以下の定理を紹介する。
定理5
有界閉区間i=[a,b]上の有界な関数f(x)に対して、次の条件は同値である。
(1) f(x)はI上で積分可能である。
(2)
(3) Iの分割Δに対して
【証明】
(1)⇒(2)の証明。
任意の正数ε>0に対して、
任意の分割Δに対して、とおくと、上限の定義より
となるが存在する。
よって、
f(x)はI上で積分可能だからδ>0が存在し|Δ|<δとなる任意の分割に対して
よって、任意のIの分割Δに対して
についても同様。
(2)⇒(1)の証明
任意の分割Δに対して
が成立し、
となり、ハサミ打ちの定理より
である。
(2)⇔(3)
Iの任意の分割Δに対して
ダルブーの定理よりは収束するので、
よって、
(証明終了)
上の定理を使うと、有界閉区間I=[a,b]上の単調な関数f(x)が可能であることを証明することができる。
定理6 (有界閉区間上で単調な関数の積分可能性)
有界閉区間i=[a,b]上で単調な関数f(x)は、I上で積分可能である。
【証明】
Iの任意の分割Δに対するにおける上限、下限は
である。
f(x)が定数関数のとき、任意の分割Δに対して
だから、
となり積分可能である。
f(x)が単調増加の場合、任意の正数ε>0に対して
とおくと、|Δ|<δである任意の分割Δについて
となり、
で積分可能である。
f(x)が単調減少のときも同様。
(証明終)
f(x)が単調減少のとき、g(x)=−f(x)とおくと、g(x)はI上で単調増加で、g(x)はI上で積分可能。
g(x)がI上で積分可能だから、f(x)=−g(x)もI上で積分可能である。
これを有界閉区間上の単調減少関数の積分可能性の証明にしてもよい。
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