定積分 第2回のおまけ
問題 b>aのとき、定積分の定義にしたがって
であることを示せ。
【解】
有界閉区間I=[a,b]、Iの任意の分割をとし、
に対して・において平均値の定理を適用すると
このを選んで、リーマン和を求めると
次に、任意のをとり
はI上で単調増加で、かつ、だから
また、だから、
(解答終了)
上記の解答では
はI上で単調増加で、かつ、だから
と関数f(x)の単調増加性を使っているが、f(x)の一様連続性を用いた証明も可能だろう。
f(x)は有界閉区間I上で連続だからI上で一様連続である
つまり、任意の正数εとである任意のx₁とx₂について
であるδ>0が存在する。
そこで、|Δ|<δである任意の分割Δについて考えると、f(x)はI上で一様連続だから、任意のε>0に対して
したがって、である任意のについて
一様連続
fを区間Iで定義された関数とする。任意の正数ε>0に対して
が成立する正数δ>0が存在するとき、fはIで一様連続であるという。
たとえば、実数Rで定義されたf(x)=sin
xという関数について考えると、
したがって、δ=ε>0とすると
が成立し、f(x)=sin
xは実数Rで一様連続ということになる。
例 有界閉区間I=[0,1]で定義された関数f(x)=x²はIで一様連続。しかし、I=[0,∞)で定義された関数g(x)=x²はIで一様連続ではない。
f(x)が一様連続であることは、次のように示せばよい。
任意の正数εに対して
となるので、δ=ε/2とすれば、
g(x)が[0,∞)で一様連続でないことは、たとえば、次のように示せばよい。
のようにx₁とx₂をとると、
また、
だから、正数δをどんなに小さくとっても
で、2より小さくならない。
よって、g(x)は一様連続ではない。
一様連続の定義は
だから、一様連続でないことの定義は、上の否定をとり
これを人間の言葉に訳すと
「ある正数ε>0と、あるx₁,x₂∈Iがあって、どんなにδ>0を小さくしても、
である。
定理
fが有界閉区間Iで連続ならば、fはIで一様連続である。
上の定理の証明にはハイネ・ボレルの被覆定理などを必要とするので、ここでは証明はしない。
例2
は、(0,1]で一様連続でない。
とすると、x₁∈(0,1]、x₂∈[0,1]。
しかし、
だから、
にならない。
つまり、f(x)=1/xは有界な半閉区間(0,1]で一様連続でない。
上の定理で、有界な閉区間という条件が重要であることがわかってもらえたのではないか。
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