2016年10月1日土曜日

第3回 数列の極限の定理


§1 数列の極限の定理
2つの数列の極限値をそれぞれabとする。
つまり、

定理2
【略証】
(Ⅰ)
なので、
ε > 0, n ≧ m に対して
となる。

(Ⅱ)
ここで、
とすれば、n≧mならば

(Ⅲ)
ここで、
とすれば、n≧mならば
ε<1と考えていいから、
よって、

(Ⅳ)は
と考えればいいので、
を証明すればいい。

ε > 0, n ≧ m に対して
になるmが存在する。
ここで、0 < ε < |b|/2 にとれば
よって、
(証明終了)

定理3
収束する数列は有界である。
【証明】
有界だから、すべてのnに対して
を満たす実数Mが存在する。
また、仮定より、数列が収束するので、
ε > 0 とすると、n ≧ m
となるmが存在する。
つまり、n ≧ m に対しては
m以下のとを合せて
とする。
このどれよりも大きい数をMとすれば(※)、
したがって、収束する数列は有界である。
(証明終了)

(※) たとえば、
有限集合
の最大値をlとすると、
とすればよい。


§2 単調数列
であるとき、単調増加であるという。
のとき、単調減少であるという。
集合が上に有界(下に有界)であるとき、数列は上に有界(下に有界)であるという。

定理4
有界な単調数列は収束する。
【証明】
単調増加数列の場合を証明する。
は上に有界なのだから、sup M = a という上限が存在する。
で、上限の定義より
は単調増加だから
となり、n ≧ m に対して


上限の定義(定理)として次のものをあげることにする。

定理0(上限と下限)
上限sup M = a であるための必要十分な条件は
∀x ∈ M, x ≦ a
かつ
∀ε > 0, ∃x ∈ Ma – ε < x
である。
下限 inf M = β であるための必要十分な条件は
∀x ∈ M, x ≧ β
かつ
∀ε > 0, ∃x ∈ Mx < β + ε
である。

定理4は、数列の収束判定でよく使うので、これは憶えて欲しい。

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