2016年10月5日水曜日

第6回 集積値とワイエルシュトラスの定理

第6回 集積値とワイエルシュトラスの定理


§1 集積値
一般項が
である数列を考える。
で、この部分列
を考えると、これは、それぞれ、+1 と –1 に収束する。
この +1 や –1 のような点を数列の集積値という。

集積値の定義
数列のある部分列がa に収束するならば、このa を数列の集積値という。

問 次の数列の集積値は何か。幾つあか。

集積値の定義は次のように言い換えてもいい。

集積値の定義’
a のどのような近傍にも、数列の項が無限に多く存在するとき、このa を数列の集積値という。

aの近傍というのは、ε > 0 とすると、開区間 (a–ε, a + ε) のことだと思って欲しい。
そして、上の定義は、どのような正の数εをとっても、数列の項がa–ε < x < a+ε の間に無数あるということ主張している。
問の(2)の場合だと、集積値は1 0 だが、a = 1 の近傍には、εをどれだけ小さくとっても、
の項が無数に存在する。
同様に、a = 0 の近傍にもの項が無数に存在する。
たとえば、
とすると、0の近傍には
に等しい項が無数に存在する。

§2 ワイエルシュトラスの定理

定理8 (ワイエルシュトラスの定理)
有界な数列には少なくとも一つ集積値が存在する。
【証明】
有界だから
を満たす正の実数Kが存在する。
つまり、
閉区間[ –K, K] を二等分して、[–K, 0] [0, K] という閉区間を作ると、 このどちらかにの無数の項がある。
かりに[0, K] にあるとして、
として、これをまた二等分する。すると[0,K/2] [K/2, K] になって、このどちらかにの無数の項が存在する。
仮に[K/2, K]に無数の項があるとすると、
として、これをまた二等分する。
こうした操作を繰り返してゆくと、
という閉区間の減少列が得られる。
すると、
になる。
区間縮小法の原理から、これら閉区間すべてに共通に含まれる一つの数a が存在する。
それで、
のなかに含まれる数列の項の中で最も番号が若い奴をに含まれる数列の中で最も番号が若い奴をといった具合に、この操作をと無限に繰り返す。
すると、
というの部分列が得られて、①と②より、a に収束する(※)。
したがって、
a
の集積値である。
(証明終了)


どして、ワイエルシュトラスの定理を証明したかというと、次回にこの定理を使って、コーシーの収束条件を証明したから。

本によっては、

定理8’ (ワイエルシュトラス・ボルツァノの定理)
有界数列は収束する部分列をもつ。
となっていると思うけれど、定理8を言い換えただけで、同じもの。

(※)
で、区間の幅がだから

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