2017年3月21日火曜日

第3回 定積分の性質1

第3回 定積分の性質1


リーマン和をもとに(定)積分を定義すると、高校で習った定積分の次の定理を証明することができる。

定理1
f(x)g(x)が有界閉区間[a,b]で積分可能、λμが定数であるとき、λf(x)+μg(x)[a,b]上で積分可能で、
である。
【証明】
分割を任意にとると、リーマン和は
となり、λf(x)+μg(x)[a,b]上で積分可能で、
である。
(証明終了)


定理2
f(x)g(x)は有界閉区間[a,b]で積分可能であるとする。このとき、
ならば、
である。
【証明】
分割を任意にとると、仮定より
であるから、
f(x)g(x)[a,b]上で積分可能だから、|Δ|→0のとき
(証明終)

関数fgが有界閉区間[a,b]上で連続であるとき、f=g、つまり、x∈[a,b]のすべてのxについてf(x)=g(x)でなく、
であるとき、
になるけれど、単に積分可能であるときは、等号は外せないことに注意。

たとえば、[0,1]で定義されたf(x)=0
の積分を考えればよい。
このとき、f≠gで、f(x)≦g(x)という条件を満たしているが、
前回の問題2で示したように、g[0,1]で積分可能でその値は
だから、
である。

また、f[a,b]上で積分可能で、x∈[a,b]のすべてのxについてf(x)≧0のとき、
ならば、x∈[a,b ]f(x)=0も言えない。


定理3
有界な関数fgが有界閉区間[a,b]の有限個の点を除き、f(x)=g(x)であるとする。このとき、f[a,b]上で積分可能ならば、g[a,b]上で積分可能で、
が成り立つ。
【証明】
x=dを除いてf(x)=g(x)である関数g(x)を考え、
とすると、φ(x)[a,b]上で積分可能で、
したがって、定理1より
[a,b]上で積分可能で、
になる。
次に、を除いてf(x)=g(x)である関数g(x)を考える。
とおき、
とおくと、[a,b]上で積分可能で、
である。
とおくと、
(証明終)

定理3より、たとえば、[0,3]で定義される
という関数f(x)[0,3]で積分可能であり
である。

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