第9回 像と逆像
を写像とする。Xの部分集合A⊂Xの要素のfによる像の全体をf(A)で表し、Aのfによる像という。
すなわち、
である。
また、Yの部分集合B⊂Yに対して、Xの部分集合
をfによるBの原像と言い、で表す。
【注意】
写像の逆写像f⁻¹と同一の記号を用いているが、逆写像とは異なるので注意。
f(x)=x²で定められる写像があり、B=[0,4]⊂Rとすると、
また、∅⊂Rだから、
定理1 とすると、次のことが成り立つ。
【証明】
(1) A₁⊂A₂とする。y=f(x)∈f(A₁)とすると、y=f(x)となるx∈A₁が存在する。
また、A₁⊂A₂だからx∈A₂となり、y=f(x)∈f(A₂)。
よって、
(2) A₁∩A₂⊂A₁、A₂。
(1)より、
(3) A₁、A₂⊂A₁∪A₂だから、
y∈f(A₁∪A₂)とすると、y=f(x)となるx∈A₁∪A₂が存在する。
x∈A₁のときy=f(A₁)だからy∈f(A₁)∪f(A₂)。
x∈A₂のときy=f(A₂)だからy∈f(A₁)∪f(A₂)。
いずれの場合も、y∈f(A₁)∪f(A₂)。
故に、
(4) y∈f(A₁)−f(A₂)とすると、y=f(x)となるx∈f(A₁)が存在し、かつy=f(x)∉f(A₂)である。
仮にx∈A₂とすると、f(x)∈f(A₂)となり、矛盾。よって、x∉A₂。
故に、
(証明終)
例1 f(x)=x²によって写像を定め、Rの部分集合A₁、A₂を閉区間
とすると、
である。
したがって、
また、
となり、定理1の(2)、(4)に関して、一般に等号が成立しないことがわかる。
等号が成り立つのは、fが単射のときである。
定理2 を写像、A⊂X、B⊂Yとすると、次のことが成り立つ。
【証明】
(1) とすると、f(x)∈f(B₁)。仮定よりB₁⊂B₂だから、f(x)∈B₂。
故に、
(証明終)
定理3 を写像、A⊂X、B⊂Yとする。このとき、次のことが成り立つ。
【証明】
(1)
⇒ f(A)⊂Bとする。
x∈Aとすると、f(x)∈f(A)。仮定より、f(x)∈B。よって、x∈f⁻¹(B)。
したがって、A⊂f⁻¹(B)である。
⇐ A⊂f⁻¹(B)であるとする。
y∈f(A)とすると、あるx∈Aが存在してy=f(x)。仮定より、A⊂f⁻¹(B)だからx∈f⁻¹(B)。よって、y=f(x)∈B。
ゆえに、A⊂f⁻¹(B)
(2) x∈Aならばf(x)∈f(A)。
よって、
(3) とすると、y=f(x)となる元x∈f⁻¹(B)が存在する。
よって、
(証明終)
例2 f(x)=x²によってを定め、A=[0,2]、B=[−1,4]とする。
このとき、
定理3の(2)で等号が成立するのは単射のときである。
また、
定理3の(3)で等号が成立するのは全射のときである。
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