2018年4月9日月曜日

第11回 非可算集合

第11回 非可算集合


有理数、代数的(実)数のように、自然数よりもはるかに(個)数が多そうな無限集合の濃度も可算濃度であった。したがって、無限集合の濃度はすべてに等しいのではないかと思いたくなる。
しかし、この予想は正しくない。
次に、可算濃度ではない無限集合の実例をあげることにする。

(1) 実数全体の集合Rは可算集合ではない
実数の部分集合R₁=x∈R0<x<1}とする。
R₁の要素xは、無限小数として、ただ一通りに表せる。
R₁が可算であると仮定すると、その要素は次のように自然数の番号をつけることができる。
ここで、上の表の対角線上の数を元に、
とし、
という実数を作る。
すると、0<b<1となり、b∈R₁である。
したがって、bは、あるに等しくならなければならないが、どのbと小数点第n位が異なっており、である。
これは矛盾である。
したがって、R₁は可算ではなく、実数全体の集合Rも可算ではない。

これが有名なカントールの対角線論法である。

問 開区間(0,1)と実数全体の集合Rは対等であることを示せ。
【解】
とすると、f(0,1)からRへの全単射になる。
したがって、開区間(0,1)と実数全体の集合Rは対等である。
(解答終)

実数全体の集合Rの濃度は
と表し、これを連続体の濃度という。

(補足)
代数的(実)数以外の実数を超越数という。

(2) 関数の濃度
実数全体の集合RからRへの関数全体の集合Fの濃度は、有限でも可算濃度でも連続体の濃度でもない。
【証明】
任意のx∈Rに対して実定数aに対応させる写像(関数)をfₐとおけば
である。
fₐ全体が作るFの部分集合をCとする。
実数afₐを対応させれば、これはRからCへの全単射(1対1対応)。したがって、CRである。よって、Fは高々可算集合ではない。
次に、FRが対等でないことを示す。
RからFへの全単射gがあると仮定する。
すると、Fの任意の要素は、Rのある要素agによる像gₐである。
ここで、任意のa∈Rに対して
という関数hを定義すると、h∈Fである。したがって、hはあるに等しい。つまり、任意のx∈Rに対して
となり、
である。
しかし、これは
と矛盾する。
よって、実数全体の集合RからRへの関数全体の集合Fと実数全体の集合Rとは対等ではない。
(証明終)

RからRへの関数全体の集合Fの濃度を関数の濃度という。

実は、
という関係があるのですが、たとえば、の間に濃度があるのかどうかはわからない。
というか、この間に濃度があると仮定してもよし、無しとしてもよし。

定理 全ての無限集合は可算である部分集合をもつ。
【略証】
集合Aが無限集合であれば、
と、順次、要素を取り出すことができ、
とすると、Bは可算集合、かつ、B⊂A
(略証終)


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