ニュートン法の収束速度
§1 ニュートン法の計算法
x=αを解にもつ次の方程式があるとする。
f(x)が何回でも微分可能な関数であるとき、x=x₀でf(α)をテーラー展開すると
となるので、2次の項を無視すると、f(x)を次のように近似できる。
x=αは(1)の解なのでf(α)=0であり、f(α)=0と(3)式より
と、(4)式を用いて方程式(1)の解を推測することができる。
(4)式の右辺で推測されたαの推測値をx₁とすると、
(5)式から得られた推測値x₁を用いて
と推測値x₂を求め、さらに、この推測値x₂をもとに・・・
と、逐次的に、方程式(1)の解の近似解を求める方法をニュートン法またはニュートン・ラプソン法という。
§2 ニュートン法の収束速度
f(α)をでテーラー展開すると
ここで、ξはαとの間にある実数。
f(α)=0だから、のとき、
ここで、
とおくと、
となる。
ここで、適当なδ>0をとり、となるようにすると、仮定よりf'(x)とf''(x)は、連続なので、Iで有界。
したがって、
となるA>0(仮定よりf'(x)>0)、B>0が存在する。
したがって、
となり、ニュートン法は2次の収束速度をもつことがわかる。
このため、ニュートン法は4、5回程度の反復計算で収束解を得ることができる。
上の表は、方程式
に対し、計算の初期値x₀=−5を与え、ニュートン法を用いて表計算ソフトで計算した結果である。5回の反復回数で、この方程式の解の1つであるx=−3が得られることがわかる。
また、反復計算の4、5回目の誤差の指数を見ると、−6と−12となっているとから、ニュートン法の収束速度が2次であることを確認できるだろう。
なのですが、
計算の初期値にx₀=5を与えると、事情は一変する。
表計算ソフトの誤差の列を見ると、反復計算の回数を1回増やすたびに誤差は約1/2にしかなっておらず、2次の収束速度を持っているはずのニュートン法が1次の収束速度に落ちてしまっていることがわかる。
このとき、ニュートン法は、2分法に限りなく近いものになってしまうのであった。
多重解x=αを持つ方程式
の解x=αをニュートン法で求めようとすると、一般に、非場に収束が遅い。
興味のあるヒトは、さらに、
の解x=3をニュートン法で求めてみるといいと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿