シュレーダー法
問題 次の方程式の解を2分法とニュートン法で求めたい。
さて、次の条件で計算したとき、2分法とニュートン法、どちらが速く収束解を得られるでしょうか。
条件
2分法 計算開始の区間をI₀=[0,5]とする。
ニュートン法 x₀=5を計算の出発点とする。
収束判定 |x−3|<10⁻⁶
【解】
したがって、
ニュートン法は
となる。
両辺から3を引くと
よって、収束条件を満たす自然数nは
を満たさなければならない。
したがって、
ゆえに、n=36。
一方、2分法の場合は、1回計算を進めるたびに方程式の解が存在する区間の幅が1/2になるので、
のとき、任意のに対して
となるので、、
最大、n=23回、計算すればよい。
故に、本問の場合、2分法の方がニュートン法よりも早く収束する。
(解答終)
表計算ソフトで、ニュートン法を用いて解いた結果を以下に示す。
上の計算の通り、実際に、36回で収束条件を満たすことがわかるだろう。
次に、より一般の、x=αをm重根(m=2,3,・・・)とする
方程式の場合について考えることにする。
このとき、
になるので、ニュートン法は
となる。
この両辺をaで引くと、
したがって、m=2,
3,4,・・・と、mが大きくなればなるほど、ニュートン法は収束が遅くなることがわかる。
ここで、
を収束率と呼ぶことにする。
これは、1回計算すると、どれだけx=αという解に近づくいているかの比を表すもので、この値が小さければ小さいほど、速く収束することを表す。
(2)の場合、収束率は、厳密に
である。
(1)の場合、m=3だから、収束率は
となる。
さらに一般の、x=αをm重根(m=2,3,・・・)とする次の方程式があるとする。
このとき、次のことが成り立つことが知られている。
定理
f(x)がm重零点αを含む開区間Iにおいて級で、
とする。
にとり、
とすると、
である。
【証明】
この両辺をαで引くと
仮定より、
したがって、
すなわち、だから、
(証明終)
今回取り上げた問題は、その最も簡単なh(x)=1の場合。
そして、(4)式の方程式のm重根x=αを求めるとき、ニュートン法(5)を
と改良すると、2次の収束速度に早めることができることが知られている。
この方法をシュレーダー法という。
実際の方程式の近似解を求めるとき、シュレーダー法が役に立つかどうかというと、何とも微妙。何故ならば、求める解がm重根であるかどうか、我々は事前に知ることができないから(^^ゞ
m重根であるかどうかの判定をしながら計算する方法もあるらしいけれど、その判定、判断をするためにプログラムは複雑化し、その判定に要する時間も必要になる。結果、2分法や(5)式を用いたニュートン法よりも計算時間を要したのならば、いったい、何をしているのかがわからなくなってしまう!!
この他に、ハレー彗星で有名な、ハーレー法(ハーリー法)も存在しますが・・・。
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