2016年6月14日火曜日

第26回 ガウスの発散定理

第26回 ガウスの発散定理

ガウスの発散定理
閉領域Sに囲まれた領域Vにおいて、ベクトル関数A(x,y,z)が連続な偏導関数をもつならば、
  
である。ただし、nSの内部から外部へ向かう単位法線ベクトルである。

ベクトル関数の発散を∇・Aではなく、div Aという記号を使ってあらわすならば、①は
  
となる。
また、ベクトル関数Aをベクトルの成分に分けて
  
とすると、①は次のように書き換えることもできる。
  
上の式の右辺については、面積分2のところで
  
になるという話をした。

では、ガウスの発散定理の証明。

【証明】
図のようにVが上の曲面S₂と下の曲面S₁で囲まれているとする。そして、nnをそのS₂S₁の単位法線ベクトルとする。さらにS₂S₂=φ₂(x,y)S₁S₁=φ₁(x,y)で与えられているものとする。DS₂S₁の接合面のxy平面上の正射影をDとする。

  
S₂の各点の法線ベクトルn
  
と一致するけれど、S₁では向きが違って−nになっている。
  
よって、
  同様にして
  となり、これらを辺々に足し合わせれば
  となり、
  である。

この証明なんてわからなくてもいいにゃ。
欲しいのは、ガウスの発散定理だにゃ。
このガウスの発散定理がどれだけすぐれものかというと、次の問題を解くとわかるにゃ。

問題1 Sを原点を中心とする半径aの球の表面x²+y²+z²=a²a>0)とする。このとき、ベクトル関数A=xi+yj+zkS上の面積分を求めよ。
【解】
  
ガウスの発散定理より
  
ここで、Vx²+y²+z²=a²で囲まれた領域、0≦x²+y²+z²≦a²、つまり、原点を中心とする半径aの球。
  
は半径aの球の体積だから、
  
だから、
  


問題2 平面x=0y=0z=0x+y+z=aaは正の定数)で囲まれた三角錐の全表面をSとする。このとき
  
を求めよ。
【解】
  r=xi+yj+zkだから、∇・r=3
で、ガウスの発散定理から
  
ここで、Vは平面x=0y=0z=0x+y+z=aaは正の定数)で囲まれた三角錐。
で、三角すいの体積は、三角形の底面積がa²/2で高さがaなので
  
よって、
  

【別解】
面積分を使って真面目に計算するならば、
  φ(x,y,z)=x+y+z
とする。
  ∇φ= i+j+k=(1,1,1)
になるので、単位法線ベクトルn
  
そして、S上では、z=a–x–yだから
  
よって、
  
となり、
   

この問題のSxy平面の正射影はx+y+z=az=0を代入したもの、つまり、x+y=ax=0y=0で囲まれる領域、つまり、
  D={(x,y)|0≦x≦a,y=a–x}ね。

外積を使ってもいいけれど、それはちょっと大袈裟だろう。 行列式を計算しないといけないし、これを書くのも大変だし(^^

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