2016年3月12日土曜日

第31回 ソレノイド的なベクトル場

第31回 ソレノイド的なベクトル場


ある領域で恒等的にdiv A=∇A=0となるベクトル場を回転的、またはソレノイド的管状湧き出しなし)であるという。

領域Dで連続なベクトル場Aが他のベクトル場pによって
   A=rot p=∇×p
とあらわされるとき、Aはベクトルポテンシャルをもつといい、pAベクトルポテンシャルという。

A=∇×pのとき、∇・A=∇(∇×p)=0になるので、ベクトルポテンシャルをもつベクトル場はソレノイド的になる。

単連結領域において、A=∇×p₁=∇×pとあらわさせるとする。このとき、恒等的に∇×(p₁−p₂)=0が成り立つので、前回の定理より p₁−pはスカラーポテンシャルφをもち、 p₁−p₂=∇φとなる。
つまり、pがベクトル場Aの一つのベクトルポテンシャルであるとき、p+∇φもベクトルポテンシャルになる。
A=∇×pとすると、∇×(∇φ)=0だから、
  ∇×(p+∇φ) = ∇×p+∇×(∇φ)=∇×p=A
となるので、p+∇φAのベクトルポテンシャルになっている。

では、単連結領域において非回転的であるとき、つまり、∇×A=0であるときスカラーポテンシャルφが存在するように、回転的なとき、つまり、∇・A=0のときベクトルポテンシャルpは存在するのかという問に答えるのが、次の定理。

定理 全空間において連続な偏導関数をもつベクトル場Aがソレノイド的であるとき、A=rot p=∇×pとなるベクトルポテンシャルが存在する。
【証明】
任意の1点(x₀,y₀,z₀)を選びベクトルポテンシャルを次のように定義する。
  
この回転を計算すると、∇・p=0だから
  
となる。
同様に、
  
となる。したがって、このpAのベクトルポテンシャルである。
(証明終)

上の証明は何を書いているからわからないと思う。
  
  
という連立偏微分方程式の解の一つ。
として、②と③を解くと
  
で、これを①に代入すると
  
となって、④より
  
だから、
  
で、φ=0とすると
  
となり、
  
なる。


問題 ベクトル場A=xyi−zxj+(x²+y²)kが回転的であることを示し、かつ、そのベクトルポテンシャルを求めよ。
【解】
  
よって、回転的である。
混乱しないと思うから、ξxηxとするけれど、
  
を、x₀=0として使うにゃ。
  



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