第29回 ストークスの定理
向きづけられた曲面Sと境界の曲線Cを考える。境界Cの向き付けは下の図のようにする。
ストークスの定理曲面上の閉曲線Cで囲まれた領域Sにおいて、ベクトル場Aが連続な導関数をもつならば、である。A=Pi+Qj+Rkとし、成分で書けばである。
この定理の証明は長いんで書きたくないのだけれど・・・。
【証明】
曲面Sが
r=r(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v))
とパラメータ表示され、曲線座標(u,v)に対する単位法線ベクトルはSの向きづけによるnと一致しているものとする。
平面におけるグリーンの定理より
(証明終)
上の証明に出てくる
上の証明に出てくる
はヤコビアン。
さらに、2行目から3行目の変形の過程で、合成関数の偏微分
を使っていて、このPをQやRに置き換えると、∂Q/∂u、∂Q/∂v、∂R/∂u、∂R/∂vが得られ、さらに式を整理すると3行目のになる。
これとは違う証明の方が一般的だけれど証明や説明がやたらと長いし、上の証明のスッキリしていてわかりやすいのではないだろうか。
どちらの証明であっても、何を書いているか分からないという点では同じと思うにゃ。
ガウスの発散定理と今回のストークスの定理に関しては結果が大事。
問題1 下の図に示す三角形PQRの辺をP→Q→R→Pと回る閉曲線をCとする。このとき、A=xyi+yzj+zxkの線積分
の値を次の2つの方法で求めよ。
(1)直接、線積分を計算する。
(2)ストークスの定理を使う。
【解】
(1)PQは、x=1–y(0≦y≦1)と表せ、PQではz=0だからA=xyi。
よって、
同様に、
よって、
(2)Sの単位法線ベクトルn=(1/√3,1/√3,1/√3)。
よって、
となる。
また、S上ではx+y+z=1なので、
で、
なので、
は△PQRの面積。△PQRは1辺が√2の正三角形だから、
となる。
まぁ、z=1–x–yとし、
重積分を使ってSの表面積、つまり、△PQRの面積を
としてもいいけれど、これはさすがに大袈裟というもの。
なお、DはD={(x,y)|0≦x≦1,0≦y≦1–x}。
問題2 閉曲線Cで囲まれた曲面Sについて、スカラー関数をφ(x,y,z)とすれば、
であることを示せ。
【解】
A=∇φとし、ストークスの定理を使うと
となる。
∇×∇φ=0
だから、
問題3 任意の閉曲線Cで囲まれた曲面Sについて
が成り立つとき、
V=∇×A
である。(ストークスの定理の逆)
【解】
ストークスの定理から
よって、
で、任意の閉曲面であるから、V–∇×A=0、すなわち、V=∇×Aである。
上の問題2、3の内容は理論的にとても重要なものだケロ。
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