第3回 関数の右側極限、左側極限と関数の連続
§1 右側極限値と左側極限値
xをaに近づけるとき、aより大きい方(右側)から近づくことをx→a+0、小さい方から近づくことをx→a–0
であらわす。特にa=0のとき、それぞれを、単にx→+0、x→–0
であらわす。
左側、右側極の定義
x→a+0のときf(x)が限りなくある定数lに近づくことを
とあらわし、lをaにおける右側極限値という。
同様に、x→a–0のときf(x)が限りなくある定数lに近づくことを
とあらわし、lをaにおける左側極限値という。
ε-δ論法による右側極限、左側極限の定義は
任意の正数ε>0に対して、あるδ>0があって
定理4
と、は同値である。
[証明]
十分)
とすると、任意の正数ε>0に対してあるδ>0があって
よって、
となり、
である。
必要)
とすると、任意のε>0に対して、δ₁>0、δ₂>0があって
このεに対して、
をとれば、
よって、
(証明終)
例1
x>1のとき
x<1のとき
したがって、
だからは存在しない。
§2 関数の連続
f(x)はaの近傍で定義されている関数とする。
であるとき、f(x)はx=aで連続であるという。
ε-δ論法による定義は、たとえば、次のようになる。。
任意の正数εに対して
となる正数δが存在するとき、f(x)はx=aで連続であるという。
なお、関数の極限の定義は
任意の正数εに対して
となる正数δが存在するとき、lはx→aのときの極限値という。
関数の連続の定義(2)と関数の極限の定義(3)はよく似ており、定義の違いがわかりにくいと思うのだが、この定義の違いは、主に、関数f(x)がx=aで定義されているかどうかによるものである。
つまり、関数の極限の場合、点aは関数f(x)の定義域に含まれていようが含まれていまいが、どちらでも構わない。このことは、(3)の定義を見ると明らかであろう。
何故ならば、
だからx=aは含まれていないからだ。
このことは次の例を見ると、定義の差の理由の理解が容易になるだろう。
例2
のとき、
しかし、x=1で関数f(x)は定義されていないのでf(1)は存在しない。
例3 有名な極限の公式
であるが、
は、f(x)はx=0で定義されていないのでf(0)は存在しない。
ただし、x=0のときf(0)=1と定義し、
とすると、
が成立し、x=0でf(x)は連続である。
例4
この関数f(x)の場合、
となり、だからは存在しない。
したがって、は成立せず、f(x)はx=1で不連続である。
例4のような不連続点を跳躍連続点とよび、を関数f(x)のx=aにおける跳び、跳躍などと呼ぶ。
また、が成立するときf(x)はx=aにおいて右連続という。ε-δ論法による定義は次のようになる。
任意の正数εに対して、
である正数δが存在する。
が成立するときf(x)はx=aにおいて左連続という。ε-δ論法による定義は
任意の正数εに対して
である正数δが存在する。
定理5
関数f(x)が点aで連続である必要十分条件は、f(x)が点aで右連続かつ左連続であることである。
なお、例4の場合、f(x)はx=1において左連続であるが、右連続ではない。
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