2017年5月15日月曜日

第1回 関数の極限1

第1回 関数の極限1


高校の関数の極限の定義は、例えば次のようなものである。

高校の関数の極限の定義
aの近くで定義された関数f(x)において、xaとは異なる値をとりながらaに限りなく近づくとき、f(x)がある一定の値αに限りなく近づく場合、
または
と書き、この値αx→αのときのf(x)極限値という。

このとき、次の関数のように、関数は必ずしもx=aで定義されている必要はない。
この関数f(x)は、x≠aのとき
となるので、x→aのときのf(x)の極限値は
である。

なのだが、上述の関数の極限の定義は、xaに限りなく近づくという表現が曖昧ということで、大学数学においては、例えば、次のように関数の極限が定義される。

大学の関数の極限の定義
aの近くで定義された関数f(x)において、任意の正数εに対して、適当な正の数δをとると、
が成り立つとき、
または
で表し、x→aのときf(x)αに収束するという。また、αx→aのときのf(x)の極限値という。

そして、この関数の極限の定義が、悪名高いε-δ論法と呼ばれるもので、記号∀、∃を用いて
と簡潔に表現したりする。


問1 ε-δ論法を用いて、次のことを証明せよ。
【解】
(1) 任意の正数ε>0に対して、δ=ε/2にとると、
よって、

(2)
0<x–1<δ≦1にとれば
したがって、3δ≦ε、すなわち、δ≦ε/3にとればよい。
よって、任意の正数εに対して
にとれば、
よって、

(2)の別解
0<x–1のとき
だから、
とおき、これを解くと
したがって、任意の正数εに対して
δをとると、
となり、よって
(解答終)


問2 ε-δ論法を用いて、次のことを示せ。
【略解】
(1)
だから、0<δ≦1にとれば
したがって、任意の正数εに対して
となるようδをとればよい。

(2)
だから、0<δ≦1にとれば
したがって、任意の正数εに対して、
δをとればよい。
(略解終わり)


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