第6回 微分係数と導関数
§1 微分係数
関数f(x)が点aの近傍で定義されていて、極限値
が存在するならば、f(x)は点aで微分可能という。このとき、この極限値
をf(x)の点aにおける微分係数といい、f'(a)であらわす。
a+h=xとおけば、微分定数の定義式(1)は
とあらわすことができる。
f(x)が点aで微分可能である必要十分な条件は、点aの近傍で
と表せる一定の実数Aが存在することである。このとき、A=f'(a)である。
このことは、(3)式の両辺をh≠0で割ると
となることから明らかだろう。
例1 f(x)=x²は点aで微分可能である。
となるから、A=2a、ε(h)=hとおくと、
したがって、f'(a)=2aである。
f(x)=x³の場合、
だから、A=3a³、ε=3ah+h²とおくと
したがって、f'(a)=3aである。
例1のf(x)=x³のε(h)を見るととわかるとおり、一般にε(h)はhのみで定まらないことに注意。
定理13 (微分可能な関数の連続性)
関数f(x)が点aで微分可能ならば、f(x)は点aで連続である。
[証明]
x≠aのとき
だから、f(x)が点aで微分可能のとき
よって、f(x)が点aで微分可能ならば、f(x)は点aで連続である。
(証明終)
例2 関数f(x)=|x|はx=0で微分可能でない。
何故ならば、
h>0のとき
h<0のとき
となるので、
は存在しないから。
つまり、上の定理の逆は成立しない。
上の定理の対偶をとると、「関数f(x)は点aで連続でないならば、f(x)は点aで微分可能でない」になる。つまり、f(x)は点aで不連続ならば、点aで微分不可能である。
例3
は、x=1で不連続だから、x=1で微分不可能である。
現に、
で、f'(1)は存在しない。
点aで微分可能でなくても、
左側微分係数
右側微分係数
が存在することがある。
したがって、微分可能の定義より、f(x)が点aで右側および左側微分可能であってであるとき、f(x)は点aで微分可能である。
§2 導関数
開区間Iで定義された関数f(x)がIのすべての点で微分可能であるとき、f(x)はIで微分可能であるといい、
をf(x)の導関数という。
関数f(x)が開区間(a,b)上で微分可能でかつ点aで右側微分可能、点bで左側微分可能であるとき、f(x)は閉区間[a,b]で微分可能であるといい、
とする。
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