第8回 導関数に関する定理
定理18
関数f(x)は開区間Iで微分可能とする。点c∈Iにおいて最大値、または、最小値をとるならば、f'(c)=0である。
[証明]
f(x)が点cで最大値をとるものし、区間Iの任意の点をxとする。
f(x)は点cで最大だから、
x<cのとき
x>cのとき
f(x)は点cで微分可能だから
が存在し、でなければならない。
よって、f'(c)=0である。
f(x)が区間内で最小値をとるときも同様に証明できる。
(証明終)
開区間ではなく閉区間の場合、上の定理は必ずしも成立しない。
この関数の場合、閉区間[−1,1]の端点x=±1で最大値1をとるがf'(x)=2xだからf'(−1)=−2≠0、f'(1)=2≠0で上の定理は成立しない。
x=0のときf(x)は最小値0をとる。x=0は開区間(−1,1)の点だからf'(0)=0で、上の定理が成り立っている。
また、
は、x=0で最小値0をとるが、f'(0)は存在しない。これは、f(x)が開区間(−1,1)で連続であるが、x=0で微分可能ではなく、したがって、f(x)が(−1,1)で微分可能でないためである。
さらに、
は、(-1,1)で微分可能で、導関数f'(x)=3x²だからf'(0)=0となるが、f(0)はf(x)は最小値でも最大値でもない。だから、「f'(c)=0ならばf(x)はx=cで最大または最小である」は一般に整理しない。
定理19 (ロールの定理)
f(x)は[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能とする。このとき、f(a)=f(b)ならば
となるcが少なくとも1つ存在する。
[証明]
f(x)は閉区間[a,b]で連続だから、連続関数の最大値・最小値の定理より、f(x)は[a,b]で最大値、最小値をとる。
f(x)が定数の場合、常にf'(x)=0だから、定理は成立。
f(x)が定数でない場合、最大値と最小値の一方はf(a)=f(b)と異なる。これをf(c)とすると、c≠a、c≠bだから、a<c<b。
条件よりf(x)は開区間(a,b)で微分可能で、かつ、(a,b)で最大値または最小値を持つので、上の定理より
となるcが少なくとも1つ存在する。
(証明終)
定理20 (平均値の定理)
関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能であるならば
となるcが少なくとも1つ存在する。
[証明]
とし、
とする。
g(x)は[a,b]っで連続、(a,b)で微分可能であり、g(a)=g(b)=0である。よって、ロールの定理より
となる点cが存在する。
したがって、
となる点cが存在する。
(証明終)
とおくと、0<θ<1となり、平均値の定理を次のように書き換えることができる。
さらに、h=b−aとおくと
定理21
f(x)、g(x)を区間Iで微分可能な関数とする。f'(x)がIでつねに0であるならば、f(x)は定数である。Iでつねにf'(x)=g'(x)ならば、f(x)−g(x)はIで定数である。
【証明】
a∈Iである点aを一つとる。
平均値の定理より、x∈Iの任意の点aに対して、aとxの間に
となる点cが存在する。
c∈Iだから条件よりf'(c)=0で、
よって、f(x)はIで定数である。
h(x)=f(x)−g(x)とおくと、Iでh(x)は微分可能。
Iでつねにf'(x)=g'(x)だから
h'(x)はIでつねに0である。
よって、h(x)=f(x)−g(x)は定数である。
(証明終)
定義
f(x)は区間Iで定義される関数とする。
x₁、x₂をIに属する任意の2数としx₁<x₂とするとき、
f(x₁)<f(x₂)であればf(x)は区間Iにおいて単調増加関数または増加関数といい、
f(x₁)<f(x₂)であればf(x)は区間Iにおいて単調減少関数または減少関数という。
定理22 関数f(x)が区間[a,b]で連続、区間(a,b)で微分可能であるとき、区間(a,b)において
(ⅰ) 常にf'(x)>0ならば、f(x)は区間[a,b]で増加関数
(ⅱ) 常にf'(x)<0ならば、f(x)は区間[a,b]で減少関数
である。
[証明]
a≦x₁<x₂≦bとすると、仮定より、f(x)は閉区間[x₁,x₂]で連続、開区間(x₁,x₂)で微分可能である。したがって、平均値の定理より
となるcが少なくともⅰつ存在する。
f'(c)>0のとき、
同様に、f'(c)<0のとき、f(x₂)<f(x₁)。
(証明終)
定理23 コーシーの平均値の定理
f(x)、g(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能、さらにg'(x)=0ならば
であるcが存在する。
【証明】
とおき、
とする。
h(x)は、[a,b]で連続、(a,b)で微分可能、かつ、h(a)=h(b)=0。
ロールの定理より
となるcが存在する。
g'(x)はa<x<bでg'(x)≠0だから、g'(c)≠0。
よって、
である。
(証明終わり)
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