第19回 リプシッツ連続と一様連続
Xを実数Rの空でない部分集合とし、fをXからRへの関数とする。このとき、任意のx₁、x₂∈Xに対して、あるK≧0が存在し、
であるとき、fはXでリプシッツ連続という。また、(1)式の定数Kをリプシッツ定数と呼ぶ。
関数f(x)がXでリプシッツ連続であるとき、f(x)がXで連続であることは、次のように証明できる。
すべてのx₁、x₂∈Xとする。
K=0のとき、(1)式より、
となり、f(x)は定数関数。よって、Xの各点で連続である。
K>0のとき、x₁を固定し、任意の正数に対して、δを
をとれば、
になるので、f(x)はすべてのx₁∈Rで連続である。
イプシロン・デルタ論法を使わずに、
と証明してもいいだろう。
また、このことから、関数f(x)がリプシッツ連続であれば一様連続であることがただちにわかる。
一様連続
fを区間Iで定義された関数とする。任意のε>0に対し、次の条件を満たすδ>0が存在するとき、fはIで一様連続であるという。
一様連続の定義から、関数f(x)が区間Iで一様連続であればIで連続であることは明らか。そして、リプシッツ連続であれば一様連続であるので、次のような関係がある。
リプシッツ連続⇒一様連続⇒連続
一般に、逆は成立しない。
一様連続に関しては、重要な次の定理があるが、証明なしで定理だけを紹介しておく。
定理
関数fが有界閉区間Iで連続ならば、fはIで一様連続である。
上のは、有界閉区間でなければ、一般には成立しない。
例1 f(x)=x²(0≦x<∞)は一様連続でない。
とおき、δ=1/nとする。
このとき、
nを大きくし、δ>0を限りなく小さくして0に近づけても、つまり、x₂→x₁にしても、この場合、f(x₂)→f(x₁)にならない。よって、f(x)は[0,∞)で一様連続ではない。
(注)
一様連続の定義は
したがって、一様連続でないは、上の否定
例1ではこれを使用している。
これを数学で使われる翻訳調日本語に訳すと、
一様連続でないとは、
あるε>0が存在し、任意のδ>0に対して、あるx₁、x₂∈Iが存在し、
を満たすことである
とか(^^ゞ
また、次のように、区間Iが有界閉区間でなく、有界な開区間であっても、Iで連続な関数な関数がIで一様連続になることがある。
例2 f(x)=x²(x∈(0,1))は区間(0,1)で一様連続である。
任意のx₁、x₂∈(0,1)とする。
したがって、f(x)は(0,1)でリプシッツ連続であり、一様連続である。
あるいは、任意のε>0に対して、δ=ε/2>0をとると、
よって、一様連続である。
次の例3のように、有界な区間でなくても、リプシッツ連続であり、一様連続になる場合もある。
例3 f(x)=sinx
(x∈(−∞,∞))
は(−∞,∞)でリプシッツ連続であり、一様連続である。
任意のx₁、x₂∈(−∞、∞)とする。
したがって、sinxは、(−∞,∞)でリプシッツ連続であり、一様連続である。
あるいは、任意のε>0に対して、δ=ε>0をとると、
よって、一様連続である。
問1 平均値の定理を使って、
が成り立つことを証明せよ。
問2 f(x)=logx
(x≧1)は[1,∞)で一様連続か。
余力のあるヒトは、「f(x)=√x
(x∈[0,∞))は[0,∞)で一様連続でか」にチャレンジしてみるといいだろう。
問題 区間Iで微分可能な関数f(x)が、任意のx、y∈Iに対して
を満たせば、関数f(x)は定数である。
【解】
任意のx、y∈I(x≠y)とする。
したがって、fはIで定数である。
(解答終)
0 件のコメント:
コメントを投稿