2017年6月23日金曜日

第3回 2変数関数の極限

第3回 2変数関数の極限


記号の混乱を避けるために、2次元ユークリッド空間の点をアルファベットの太字の斜体字を用いaなどであらわし、2点a(x₁,y₁)b(x₂,y₂)の2点間の距離を
と表記することにする。

実関数と定義域、値域の定義
An次元ユークリッド空間の部分集合、fAから実数Rへの写像とする。このとき、Af定義域といい、
f値域という。

n=2のとき、関数f(x,y)の定義域をAとすると、f(x,y)の値域は
である。


2変数関数の極限の定義
f(x,y)は点a(a,b)の近傍で定義される関数とする。
ある実数lが存在し、任意の正数ε>0に対して、あるδ>0が存在し、
である全ての点x(x,y)について
となるとき、f(x,y)は点a収束するといい、
または、
などと表す。

問1 次のことを示せ。
[解]
任意の正数ε>0に対して、δ=εδ>0を定めると、の任意の(x,y)について
となるので、
である。
(解答終)

問2 次のことを示せ。
[解]
任意のε>0に対してδ=ε/2δ>0を定めると、の任意の(x,y)について
となるので、
である。

定理2
αβを実数の定数とする。このとき、次が成り立つ、
[証明]
基本的に1変数関数の極限の証明と同じで、1変数関数の証明中のxaxa、さらに、と変更すれば、そのまま証明が流用できます(^^
だから、(1)と(4)だけ証明することにする。

また、証明を簡略化するために、(x,y)x(a,b)af(x,y)f(x)で表すことにする。

(1) α=0β=0のときは明らかだから、αβが同時に0でないとする。
だから、任意のに対して、
となるδ₁>0δ₂>0が存在する。
そこでδ>0δ=minδ₁δ₂}にとると、

(4) だから、任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して
よって、
(証明終)

1変数関数のときと基本的に証明は同じなので、次の定理は定理だけを紹介する。

定理3
(a,b)を除く、点(a,b)の近傍においてf(x,y)≦g(x,y)ならば

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