第3回 2変数関数の極限
記号の混乱を避けるために、2次元ユークリッド空間R²の点をアルファベットの太字の斜体字を用いてaなどであらわし、2点a(x₁,y₁)、b(x₂,y₂)の2点間の距離を
と表記することにする。
実関数と定義域、値域の定義
Aをn次元ユークリッド空間の部分集合、fをAから実数Rへの写像とする。このとき、Aをfの定義域といい、
をfの値域という。
n=2のとき、関数f(x,y)の定義域をAとすると、f(x,y)の値域は
である。
2変数関数の極限の定義
f(x,y)は点a(a,b)の近傍で定義される関数とする。
ある実数lが存在し、任意の正数ε>0に対して、あるδ>0が存在し、
である全ての点x(x,y)について
となるとき、f(x,y)は点aで収束するといい、
または、
などと表す。
問1 次のことを示せ。
[解]
任意の正数ε>0に対して、δ=εとδ>0を定めると、の任意の(x,y)について
となるので、
である。
(解答終)
問2 次のことを示せ。
[解]
任意のε>0に対してδ=ε/2とδ>0を定めると、の任意の(x,y)について
となるので、
である。
定理2
、αとβを実数の定数とする。このとき、次が成り立つ、
[証明]
基本的に1変数関数の極限の証明と同じで、1変数関数の証明中のx、aをx、a、さらに、をと変更すれば、そのまま証明が流用できます(^^ゞ
だから、(1)と(4)だけ証明することにする。
また、証明を簡略化するために、(x,y)をx、(a,b)をa、f(x,y)をf(x)で表すことにする。
(1) α=0、β=0のときは明らかだから、αとβが同時に0でないとする。
だから、任意のに対して、
となるδ₁>0、δ₂>0が存在する。
そこでδ>0をδ=min{δ₁、δ₂}にとると、
(4) だから、任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して
よって、
(証明終)
1変数関数のときと基本的に証明は同じなので、次の定理は定理だけを紹介する。
定理3
点(a,b)を除く、点(a,b)の近傍においてf(x,y)≦g(x,y)ならば
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