2017年6月1日木曜日

第12回 凸関数と凹関数

第12回 凸関数と凹関数



区間Iで定義された関数f(x)が、Iの任意の点x₁x₂x₁<x₂)に対して、x₁<x<x₂ ならば
であるとき、f(x)凸関数という。また、このとき、f(x)下に凸という。
であるとき、f(x)狭義の凸関数という。
また、 –f(x)が凸関数であるとき、f(x)凹関数という。

x₁<x<x₂ とすると、(1)式は
と変形され、さらに、
とおくと
となる。
したがって、f(x)が凸関数のとき、曲線y=f(x)上の任意の2点(x₁,f(x₁)と(x₂,f(x₂))を結ぶ線分は、曲線y=f(x)の下側にはくることがない。



また、f(x)が凸関数のとき、
が成立し、
直線AC勾配≦直線ABの勾配≦直線CBの勾配
である。

aを区間Iの内部の点とする。関数f(x)が点aの左近傍で狭義凸(狭義凹)、点aの右近傍で狭義凹(狭義凸)、つまり、点aの前後で凹凸が入れ替わるとき、曲線y=f(x)上の点(a,f(a))を曲線の変曲点という。

例 点(0,0)は曲線y=x³の変曲点である。


定理29 (凸関数と2次導関数)
関数f(x)が区間Iで連続、区間Iの内部で2回微分可能とする。f(x)Iで凸関数である必要十分な条件は、Iの内部でf''(x)>0であることである。
[証明]
区間Iの内部の任意の点をaba<b)、a<x<bとする。
十分)
f(x)Iの凸関数だから
f(x)は微分可能だから
f'(x)Iの内部で(広義)単調増加であり、よって、f''(x)≧0である。
必要)
Iの内部でf''(x)≧0とすると、f'(x)Iで(広義)単調増加。区間Iの任意の2点a,bをとり、a<x<bとすると、平均値の定理より
であるξηが存在する。
ξ<ηだから、
よって、f(x)Iで凸関数である。
(証明終)


定理30 関数f(x)が区間Iで連続、区間Iの内部で2回微分可能とする。Iの内部でf''(x)>0ならば、狭義凸関数である。
[証明]
Iの内部でf''(x)>0とすると、f'(x)Iで(狭義)単調増加。
区間Iの任意の2点a,bをとり、a<x<bとすると、平均値の定理より
であるξηが存在する。
ξ<ηだから、
よって、f(x)Iで狭義凸関数である。
(証明終)

次の定理は、上の定理と変曲点の定義より明らかだろう。(本当に(^^ゞ)


定理31 関数f(x)が区間Iで連続、Iの内部で2回微分可能とする。aIの内部の点で点(a,f(a))が変曲点であるならば、f''(a)=0である。

注意 y=f(x)=x⁴のとき、f'(x)'=4x³f''(x)=12x²だからf''(0)=0になるが、y=x⁴は凸関数。したがって、「f''(a)=0ならば(a,f(a))」は一般に成立しない。


問題1 関数f(x)は、開区間Iで2回微分可能、かつ、f''(x)>0とする。曲線y=f(x)は、Iで常に接線の上側にあることを証明せよ。
[解]
aを開区間Iの任意の点とすると、(a,f(a))における接線の方程式は
である。
平均値の定理より、
であるcaxの間に存在する。
よって、
If''>0だからf'は単調増加。
したがって、x<aのとき、
x>aのとき
x=aのときF(a)=0
よって、曲線y=f(x)は接線の上側にある。
(解答終了)

[別解」
f''(x)>0だから、f'(x)は(単調)増加関数。
よって、x<aのときf'(x)<f'(a)よりF'(x)<0で減少、x>aならばf'(x)>f'(a)F'(x)>0で増加。
したがって、F(x)x=aのときに極小で最小となり、
よって、曲線y=f(x)は接線の上側にある。
(別解終了)

微分積分の教科書や高校の参考書の中には、
「関数のグラフ上の点Pの近くで、そのグラフが点Pの上側にあるとき、グラフは点Pで下に凸、グラフが下側にあるとき、グラフは点Pで上に凸であるという」
といった関数の凹凸の定義を採用しているものもあるようです。


問題2 関数fを区間Iで定義された二回微分可能な凸関数とする。f'(x)>0x∈I)ならば逆関数f⁻¹は上に凸(凹)であり、f'(x)<0ならば下に凸であることを証明せよ。
[解]
x=f⁻¹(y)とすると、y=f(x)
関数fが区間Iで下に凸のとき、f''(x)=y''≧0だから、関数fは、f'(x)=y'>0ならばとなり上に凸(凹)、f'(x)=y'<0ならばとなり下に凸である。
(解答終了)

問題3 f(x)=ax²+bx+ca>0)について、次の不等式が成り立つことを証明せよ。
[解]
f'(x)=2ax+bf''(x)=2a>0 (∵a>0) だから、f(x)は狭義凸関数。
A(x₁,f(x₁))B(x₂,f(x₂))C(x₃,f(x₃))とすると、f(x)は狭義凸関数なので、線分ABBCACは曲線y=f(x)のグラフの上側にある。
とすると、これは△ABCの重心で、△ABCの内部にある(図を参照)。
したがって、



(解答終了)

何でも数式を使って証明すればいいというものではないだろう。このように図形を利用した解法もありではないか。

問題2では、f(x)=ax²+bx+ca>0)と2次の項が正である二次関数ですが、これはf''(x)>0であれば、狭義凸関数ならば成り立つ不等式。
2次関数に限定せず、より一般的に解いたというわけ。

しかし、こうした図的な解答は数学的でないという批判が出るかもしれないので、別解を。

[別解]
f(x)は狭義凸関数。
よって、
したがって
(解答終了)

f(x)Iで狭義凸関数であり、aba≠b)がIの任意の点のとき、
が成立する。
とおくと、
となる。
は、m=n=1a=x₁b=x₂とし(1)に代入すれば出てくる。
とおき(1)に代入すれば、
が出てくる。

f(x)Iで狭義凸関数ならば、
が成立する。
証明は、上の方法にならって数学的帰納法を用いればよい。
f(x)Iで凸関数ならば
である。


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