2017年6月4日日曜日

第15回 ランダウ記号の性質

第15回 ランダウ記号の性質


ランダウ記号の定義をあらためて示す。

ランダウの記号の定義
関数f(x)g(x)
であるとき、
で表す。

定理32 (漸近展開)
f(x)は、0を含む区間I級とする。このとき、
である。
[証明]
マクローリン(テーラー)の定理より、関数fは、任意の点x∈Iで、
であるθが存在する。
よって、
ここで、
とおく。
x→0のときθx→0で、f級だから
よって、
である。
したがって、
(証明終了)


上の定理から代表的な初等関数の漸近展開が次のように求められる。

ここで、
である。

ランダウの記号を用いて複雑な極限の計算をするときに必要になるので、ランダウの記号の演算規則を紹介する。

定理33 (ランダウの記号の演算規則)
【略証】
(証明終了)

数値計算などでは、ビッグ・オーOを用いることが多いので、次の定理とその証明を紹介する。
その前に、ランダウ記号のビッグ・オーOの定義を示す。

定義(ランダウのビッグ・オーO
関数f(x)g(x)
であるとき、
で表す。

定理32’ (漸近展開)
関数f(x)が原点の近傍|x<rr>0)で級ならば
である。
[証明]
f(x)は原点の近傍|x<r級の関数だからは|x<rで連続。
したがって、0<r₀<rをとると、は|x|≦r₀で連続だから有界(*)で、
となる実数Kが存在する。
f(x)を原点でマクローリン展開すると、
よって、|x|≦r₀x≠0)のとき
である。
(証明終)

(*)
有界閉区間Iで連続な関数f(x)は、Iで最大値M、最小値mをとる。
だから、
にとれば
したがって、有界閉区間で連続な関数は有界である。


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