2018年3月13日火曜日

第5回 1次変換と行列

第5回 1次変換と行列


§1 1次変換と行列
(x,y)に対応する(x',y')
すなわち
で与えられるとき、この対応関係を1次変換といい、1次変換をあらわす行列という。
1次変換によって原点は原点に写される。
また、1次変換によって(1,0)(a,c)(0,1)(b,d)に移るとき、この1次変換を表す行列A
である。
【略証」
とすると、題意より
よって、
(略証終)

問1 点(1,0)(0,1)を、それぞれ(1,2)(3,4)に写す1次変換fを表す行列を求めよ。
【答】

問2 点(2,3)(−2、−1)を、それぞれ、(5,18)、(−1,−10)に写す1次変換を表す行列を求めよ。
【解】
1次変換を表す行列をAとすると、
これを1本の式で書くと
とおくと、|B=2(−1)−(−2)3=4≠0だから、
したがって、
(解答終)

§2 回転移動
(x,y)を原点まわりにθ回転させる1次変換f
である。
【略証】
fによる(1,0)の像は(cosθ,sinθ)fによる(0,1)の像は(−sinθ,cosθ)
したがって、fを表す行列は
である。
(略証終了)

問3 原点のまわりに、120°ど回転させる1次変換を表す行列を求めよ。この変換により、点(2,3)はどの点に写されるか。
【解】
回転を表す行列は
したがって、
よって、(2,3)に写される。
(解答終)

問4 次の行列はどのような1次変換を表すか。
【解】
(1) cos30°=√3/2sin30°=1/2だから、この行列は原点まわり30°回転させる行列を表す。
(2) cos(−45°)=1/√2sin(−45°)=1/√2だから、この行列は原点まわり−45°回転させる行列を表す。
(解答終)

§3 対称移動

原点、ならびに原点を通る直線に関する対称移動は1次変換になる。

(1) 原点Oに関する対称移動
原点Oに関する対称移動によって、点(x,y)(−x,−y)に移動するので、1次変換を表す行列は

(2) x軸に関する対称移動
(x,y)→(x,−y)だから

(3) y軸に関する対称移動
(x,y)→(−x,y)だから

(4) 原点を通る直線y=xに関する対称移動
(x,y)→(y,x)だから

(5) 原点を通る直線y=−xに関する対称移動
(x,y)→(−y,−x)だから

問5 点Aを原点以外の点とする。点Aに関する対称移動は1次変換にならないことを示せ。
【解】
A(x₀,y₀)とする。ただし、x₀≠0またはy₀≠0
Aに関する対称変換fによって、P(x,y)P'(x',y')に写されるとする。
このとき、点Pと点P’の中点はAになるので、
したがって、f
の形で表すことができない。
よって、fは1次変換ではない。
(解答終)


§4 問題編

問題1 行列で表される1次変換によって、原点以外に動かない点が存在するように、kの値を定めよ。また、このとき、y軸上の点はすべてそれ自身に写されることを示せ。
【解】
よって、動かない点が原点以外に存在するためには、AEが逆行列を持ってはいけない。
だから、
よって、k=0
また、このとき、y軸上の任意の点(0,y)
と自分自身に写される。
(解答終)

1次変換(より広く、写像)によって自分自身に写される点を不動点、自分自身に写される直線を不動直線という。
問題1より、y軸上の点はすべて行列で表される1次変換の不動点であり、また、y軸はこの1次変換の不動直線であることが分かる。


問5の点A(x₀,y₀)に関する対称移動は、行列を用いると、
と表すことができる。
これを次のように変形し、
となるので、
とおくと、
となる。
つまり、点Aを原点O’にとるような新座標軸O’-XY(右図参照)を設定し、
と座標変換すれば、点Aに関する対称変換は、新たに設定した原点O’に関する対称移動になる。
つまり、
そして、
と直すことにより、
を得ることもできる。

そして、このように考えると、点(a,b)まわりに反時計方向に点P(x,y)θ回転させたとき、
となることが分かるのではないだろうか。

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