2017年9月27日水曜日

第16回 積分因子

第16回 積分因子


次の全微分方程式があるとする。
この全微分方程式は、
とおくと、
だから完全形ではない。
しかし、(1)式の両辺にxyをかけると
となり、P=xQ=yとおくと、
が成立し、完全形の微分方程式にすることができる。
ちなみに、(2)式の解は


定義
完全形でない全微分方程式
に適当な関数λ(x,y)≠0をかけて得られる
が完全形であるとき、λ(x,y)Pdx+Qdy=0積分因子または積分因数という。

先にあげた例だとxyは微分方程式(1)の積分因子である。

(3)式は完全形だから、
でなければならない。
そして、(4)式を解くことによって積分因子を求めることができる。

しかし、一般に偏微分方程式(4)を解くことは難しい。そこで、特別な場合を考えることにする。

λxだけの関数の場合、
だから、(4)式は
となり、xだけの関数であれば、積分因子は
と求まる。
同様に、yだけの関数であれば、積分因子は
として求まる。

問題1 次の全微分方程式の積分因子を見つけ、一般解を求めよ。
【解】
(1) P=2xyQ=y²–x² とすると、
したがって、積分因子は
微分方程式
の両辺に1/y²を掛けると、

(2) P=x+yQ=−xとおくと、
したがって、積分因子は
微分方程式
の両辺に1/x²を掛けると
(解答終)


問題2 線形微分方程式
を変形して得られる
の積分因子を求めよ。
【解】
とおくと、
したがって、積分因子は
(解答終)


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