2016年9月7日水曜日

第3回 像と逆像


像の定義
f:X→Y
を写像、AXの部分集合(A⊂X)とする。このときYの部分集合
f(A) = {f(a)∈Y|a∈A} = {y∈Y| y=f(a)
をみたすa∈Aが存在する}
fによるAという。
例1f:RR
とし、A=[−1,1]⊂Rとする。この時、
になる。


逆像
f:X→Y
を写像、BYの部分集合(B⊂Y)とする。このとき、Xの部分集合
fによるB逆像という。
これは逆写像と違うので注意が必要。逆写像は全単射(1対1対応)のときに定義されるけれど、逆像は全単射である必要はない。


例1の場合でB=[0,1]とすると、この逆像
になる。
このグラフを見れば、ほとんど明らかだけれど、
となるので、fによる[0,1]の逆像は[−1,1]となる。
また、B=[−1,0)とすれば、
となる。
を満たすxが存在しないから空集合∅になる。


問題f:R→R
という写像を考える。
で、さらに、とする。
この時、
は成り立つか?
【解】

一般に①は成り立たない。
①ではなく
となる。
この証明は、次回、行なうことにする。


第2回 単射・全射の定理と逆写像


前回、単射と全射をやった。

f:X→YというXからYへの写像fがあるとき、
単射は
xx'∈Xx≠x'ならばつねにf(x)≠f(x')である」
または
xx'∈Xf(x)=f(x')ならばx=x'である」
だ。
対して全射は、
「任意のy∈Yならばy=f(x)となるx∈Xが存在する」

このことを前置きして、本題。

§1 単射と全射の定理

定理1
X
YZを空でない集合、f:X→Y、g:Y→Zを写像とする。この時、次のことが成り立つ。
1 g○fが単射ならば、fは単射である。
2 g○fが全射ならば、gは全射である。
  

【証明】
1 f(x)=f(x')と仮定すると、
  
となる。
で、g○fは単射なので、x=x'となり、
  
よって、fは単射である。
2 仮定より、g○fは単射なので、任意のz∈Zに対してz=g○f(x) = g(f(x)) となるx∈Xが存在する。
で、y=f(x)∈Yとすると、
  
となり、gは全射である。
(証明終わり)

§2 逆写像

定理2
f:X→Yを全単射とする。このとき、次のことが成り立つ。
1 任意のy∈Yに対し、y=f(x)となるx∈Xがただひとつ存在する。
2 任意のy∈Yに対し、y=f(x)となるx∈Xを対応させることで、Y→Xなる写像が定まる。すなわち、
   

全単射は全射でかつ単射の写像のことで、1対1の対応といわれるもの。
(大学の)数学では、1対1の対応ではなく、全単射という言葉を使う。

fを全単射とすると、
全単射は、全射なのだから任意のy∈Yに対してy=f(x)となるx∈Xが存在する。
y=f(x)y=f(x')とすると、fは単射なのだから、f(x)=f(x')からx=x'となる。
逆写像の定義から、
  
となる。

このことから、
  
としたいところだけれど、これはうるさいことを言うと駄目。
は定義域と終域が違うので、同じ写像と考えてはいけない。
は定義域、値域ともにX、対してYなので、写像では違うものと考える。
この違いを明らかにするために、
  
と書いたりもする。
これはどちらも自分自身に戻ってくるので、恒等写像になっている。
  
とすると、
  
になっているから。

問題 X={1, 2, 3},Y={1,2}としてf:X→Yという写像がある。
(1) 写像の個数はいくつあるか。
(2) 全射の個数はいくつあるか
(3) 単射の個数は?
【解】
(1)Xの要素12、3ともにYの要素1、2の選び方が2通りあるので、答えは
(2)Xの要素がすべてYの要素である1の2のどちらかに対応している場合を(1)から除けばいいから、8–2=6(3)Xの要素の数がYの要素の数より少ないので、単射は存在しない。
では、Xの要素の数がm、Yの個数がnのとき、どうなる?


第1回 写像

第1回 写像


§1 写像の定義
XYを空集合でないとする。Xの各元x∈Xに対してYに対してただひとつ対応させる規則XからYへの写像map)という。対応規則fがXからYへの写像であるとき
と表す。

さらに、
というXからYへの写像f、gがあって、
任意のx∈Xに対してf(x)=g(x)が成り立つとき、f=gと書く。

例1
であるとしても、関数fgの定義域が異なるので、f≠gである。

例2 f:X→Xで任意のx∈Xに対してf(x)=xが成り立つとき、恒等写像という。

例3 SXの部分集合とする。f:S→Xで、任意のs∈Sに対してf(s)=sが成り立つとき、包含写像という。

§2 合成写像
XYZを空でない集合、f:X→Yg:Y→Zを写像とする。
この時、任意のx∈Xに対してg(f(x))∈Zに対応させる写像を合成写像composite map)といい、g○fで表す。すなわち、

例4 f、gを実数Rから実数Rへの写像、
のとき、
となる。
になるので、f○g≠g○f。
つまり、合成写像において、交換則は一般に成立しない。

§3 単射と全射
単射の定義
f:X→Y
で、任意のxx'∈Xに対して、x≠x'ならばf(x)≠f(x')のとき、f単射であるという。
これは、
任意のxx'∈Xに対して、f(x)=f(x')ならばx=x'である
と同じことを意味する。

例5 f:RR
は単射ではない。何故ならば、f(−1)=f(1)=1だから。単射だとすると、1=−1 になってしまう。
しかし、定義域を実数Rではなく、0≦xとすれば、
は単射である。

全射の定義
f:X→Y
で、任意のy∈Yに対してy=f(x)を満たすxx∈Xであるとき、fを全射という。

例5のfとgは全射ではない。−1∈Rだけれど、
に対応するxは実数Rに存在しないから。

例6 f:RR
は全射。そして、これは単射でもある。