2016年9月7日水曜日

第1回 写像

第1回 写像


§1 写像の定義
XYを空集合でないとする。Xの各元x∈Xに対してYに対してただひとつ対応させる規則XからYへの写像map)という。対応規則fがXからYへの写像であるとき
と表す。

さらに、
というXからYへの写像f、gがあって、
任意のx∈Xに対してf(x)=g(x)が成り立つとき、f=gと書く。

例1
であるとしても、関数fgの定義域が異なるので、f≠gである。

例2 f:X→Xで任意のx∈Xに対してf(x)=xが成り立つとき、恒等写像という。

例3 SXの部分集合とする。f:S→Xで、任意のs∈Sに対してf(s)=sが成り立つとき、包含写像という。

§2 合成写像
XYZを空でない集合、f:X→Yg:Y→Zを写像とする。
この時、任意のx∈Xに対してg(f(x))∈Zに対応させる写像を合成写像composite map)といい、g○fで表す。すなわち、

例4 f、gを実数Rから実数Rへの写像、
のとき、
となる。
になるので、f○g≠g○f。
つまり、合成写像において、交換則は一般に成立しない。

§3 単射と全射
単射の定義
f:X→Y
で、任意のxx'∈Xに対して、x≠x'ならばf(x)≠f(x')のとき、f単射であるという。
これは、
任意のxx'∈Xに対して、f(x)=f(x')ならばx=x'である
と同じことを意味する。

例5 f:RR
は単射ではない。何故ならば、f(−1)=f(1)=1だから。単射だとすると、1=−1 になってしまう。
しかし、定義域を実数Rではなく、0≦xとすれば、
は単射である。

全射の定義
f:X→Y
で、任意のy∈Yに対してy=f(x)を満たすxx∈Xであるとき、fを全射という。

例5のfとgは全射ではない。−1∈Rだけれど、
に対応するxは実数Rに存在しないから。

例6 f:RR
は全射。そして、これは単射でもある。

0 件のコメント:

コメントを投稿