2017年5月17日水曜日

第3回 関数の右側極限、左側極限と関数の連続

§1 右側極限値と左側極限値

xaに近づけるとき、aより大きい方(右側)から近づくことをx→a+0、小さい方から近づくことをx→a–0 であらわす。特にa=0のとき、それぞれを、単にx→+0x→–0 であらわす。

左側、右側極の定義
x→a+0のときf(x)が限りなくある定数lに近づくことを
とあらわし、laにおける右側極限値という。
同様に、x→a–0のときf(x)が限りなくある定数lに近づくことを
とあらわし、laにおける左側極限値という。

ε-δ論法による右側極限、左側極限の定義は
任意の正数ε>0に対して、あるδ>0があって

定理4
と、は同値である。
[証明]
十分)
とすると、任意の正数ε>0に対してあるδ>0があって
よって、
となり、
である。
必要)
とすると、任意のε>0に対して、δ₁>0δ₂>0があって
このεに対して、
をとれば、
よって、
(証明終)

例1
x>1のとき
x<1のとき
したがって、
だからは存在しない。


§2 関数の連続

f(x)aの近傍で定義されている関数とする。
であるとき、f(x)x=a連続であるという。

ε-δ論法による定義は、たとえば、次のようになる。。

任意の正数εに対して
となる正数δが存在するとき、f(x)x=aで連続であるという。

なお、関数の極限の定義は
任意の正数εに対して
となる正数δが存在するとき、lx→aのときの極限値という。

関数の連続の定義(2)と関数の極限の定義(3)はよく似ており、定義の違いがわかりにくいと思うのだが、この定義の違いは、主に、関数f(x)x=aで定義されているかどうかによるものである。
つまり、関数の極限の場合、点aは関数f(x)の定義域に含まれていようが含まれていまいが、どちらでも構わない。このことは、(3)の定義を見ると明らかであろう。
何故ならば、
だからx=aは含まれていないからだ。
このことは次の例を見ると、定義の差の理由の理解が容易になるだろう。

例2
のとき、
しかし、x=1で関数f(x)は定義されていないのでf(1)は存在しない。

例3 有名な極限の公式
であるが、
は、f(x)x=0で定義されていないのでf(0)は存在しない。
ただし、x=0のときf(0)=1と定義し、
とすると、
が成立し、x=0f(x)は連続である。


例4
 
この関数f(x)の場合、
となり、だからは存在しない。
したがって、は成立せず、f(x)x=1で不連続である。


例4のような不連続点を跳躍連続点とよび、を関数f(x)x=aにおける跳び跳躍などと呼ぶ。

また、が成立するときf(x)x=aにおいて右連続という。ε-δ論法による定義は次のようになる。
任意の正数εに対して、
である正数δが存在する。
が成立するときf(x)x=aにおいて左連続という。ε-δ論法による定義は
任意の正数εに対して
である正数δが存在する。

定理5
関数f(x)が点aで連続である必要十分条件は、f(x)が点aで右連続かつ左連続であることである。

なお、例4の場合、f(x)x=1において左連続であるが、右連続ではない。

0 件のコメント:

コメントを投稿