2017年5月25日木曜日

第7回 導関数の性質

第7回 導関数の性質


導関数の定義
区間Iで定義された関数f(x)Iのすべての点で微分可能であるとき、f(x)Iで微分可能であるといい、
f(x)導関数という。


定理14 (和・積・商の導関数)
関数f(x)g(x)を区間Iで微分可能ならば、λf(x)+μg(x)λμは実数)、f(x)g(x)Iで微分可能で

g(x)≠0のとき、f(x)/g(x)Iで微分可能で
[証明]
(1) h≠0のとき

(2) h≠0のとき、仮定よりg(x)Iで微分可能だからIで連続()なので、

(3) h≠0g(x)≠0のとき、
上の結果と(3)より
(証明終)


定理15 (合成関数の微分)
関数y=f(x)は区間Iで微分可能、z=g(y)は区間Jf(I)⊂J)とする。このとき、合成関数J上で微分可能であり、
すなわち
[証明]
示すべきことは、F(x)=g(f(x))とおき、すべての点a∈I
b=f(a)a∈I)とおき、y∈J上の関数φ(y)
と定めると、g(y)J上で微分可能だからJ上で連続である。同様にf(x)I上で連続だから、φ(f(x))I上で連続で、
である。
φ(y)の定義より、点bの近傍で
だから、y=f(x)とおくと、
よって、
したがって、
(証明終)

x≠aのとき、f(x)=f(a)、つまり、f(x)–f(a)=0になる場合があるので、 一般に
と変形することはできない。
したがって、x≠aのとき
といった証明は許されない。
例えば、
g(y)=yy∈R)としたとき、点a>0の場合を考えよ。このとき、点aの近傍ではf(x)=f(a)=0である。
aの近傍でf(x)≠f(a)であるならば、y=f(x)b=f(a)とおくと、x→aのとき、y→bg(y)→g(b)となり、
したがって、
といった証明が許される。


定理16 (逆関数の導関数)
関数y=f(x)は区間Iで狭義単調であるとする。f(x)Iで微分可能でつねにf'(x)≠0ならばf(I)で微分可能で
つまり、
である。
[証明]
f(x)I上で狭義単調だから、x≠ax,a∈I)⇔f(x)≠f(a)f(x)f(a)∈f(I))。
y=f(x)b=f(a)とおくと、x≠a⇔f(x)≠f(b)だから
また、y→bのときx→aだから、
よって、f⁻¹(y)y=bで微分可能である。
(証明終)


定理17 (媒介変数・パラメータで表された関数の導関数)
x=f(t)y=g(t)は区間Iで微分可能でf'(t)≠0とする。x=f(t)に逆関数が存在すれば、
である。
[証明]
仮定より、x=f(t)には、逆関数t=f⁻¹(x)が存在して微分可能。したがって、となり、
合成関数と逆関数の微分より
(証明終)

分数同士のの掛け算のように
と考えるとわかりやすい。

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