2017年1月11日水曜日

第13回 推定

第13回 推定


§1 母平均の推定

標本平均を用いると、標本調査から母集団の平均値を推定することができる。
いま、母集団からn個の標本を抽出し、標本平均、標本標準偏差sを得たとする。
母集団の平均をm、標準偏差をσとすると、標本平均の分布は、平均m、標準偏差の正規分布と考えてよいから、
は、標準正規分布N(0,1)に従い、正規分布表から
である。
したがって、95%の確実性で
nが大きければ、母集団の標準偏差σは標本標準偏差sに近いと考えてよい。
したがって、
このとき、上式が成立する確率は0.95だから、これを信頼度95%の推定という。
このとき、mが取りうる範囲を信頼区間といい、確率95%を信頼度という。
同様に、99%の信頼区間は
である。


問1 全国の中学3年男子から2000人を抽出し、その身長を調べたところ、平均値が161.5cm、標準偏差が6.5cmであった。信頼度95%で全国の中学3年男子の身長を推定せよ。
【解】
母集団の平均値をmとする。標本平均s=6.5(cm)n=2000だから
よって、161.5±0.28cmである。
(解答終了)

問2 ある都市の16歳の男子の中からまったく無作為に200人を抽出して、身長に関する下表のような度数分布を得た。これによって、この都市の16歳の男子の平均身長を信頼度95%で推定せよ。

身長(cm)
145150
150155
155160
160165
165170
170175
175180
180185
人数
2
4
28
58
66
32
8
2
200

(解答)

上の表から標本平均、標本標準偏差s=√36=6(cm)
n=200だから
ここで、
だから、165.5±0.8cm164.7166.3cm
(解答終了)


問3 ある市の高校3年生4万人に数学のテストを行った。この成績を母集団として、大きさ900の標本を選んだところ、その平均値が58.6点、標準偏差が12.0点であった。母集団の平均値を95%の信頼度で推定せよ。
【解】
標本平均、標本標準偏差s=12.0、標本の大きさn=900だから、母集団の平均値をmとすると、
だから、57.859.4点。
(解答終了)


問4 過去の資料によると、17歳男子の分布は、標準偏差5.8kgであることが知られている。95%の信頼度で17歳男子の平均体重を0.1kgの精度で求めるためには、何人の任意標本を選んだらよいか。
【解】
95%の信頼度の誤差は
だから、
になるように標本の大きさnを定めればよい。
よって、
したがって、約13,000人。
(解答終了)

n≧113.68²
ではなく、n≧114²=12996としたほうがいいのかもしれないが・・・。
§2 母比率(母集団比率)の推定

工場で作られた製品の不良率を標本調査することによって95%の信頼度で推定すると場合について考えることにする。
母集団の製品全体の不良率をp、大きさnの標本中に含まれる不良品の個数を確率変数Xとすると、Xの分布は平均np、標準偏差の2項分布となる。
nが大きいとき、二項分布B(n,p)は正規分布とみなすことができるので、不良品の個数Xは、信頼度95%をもって
となる。
また、標本の不良率は
だから、
nが大きいとき、根号内のpに代用できるので、
となる。

以上のことをまとめると、次のようになる。

比率の推定
大きさnの標本中に、条件Aを満たすものがr個あれば、標本比率
に対して、母集団における条件Aを満たすものの比率は
の信頼区間にある。

なお、信頼度99%ならば
である。


問1 ある工場で、製品の中から任意に200個を抽出して調べたところ、30この不良品があった。製品全体の不良率pを、信頼度95%で区間推定せよ。
【解】
よって、信頼度95%で
(解答終了)

問2 ある新聞の世論調査で、有権者1000人についてある政党を支持するか否かについて調べたところ、そのうちの576人が支持者であった。有権者全体のうちその政党を支持するものの割合を、信頼度99%で推定せよ。
【解】
(解答終了)

信頼度95%ならば


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