2017年1月24日火曜日

第1回 広義積分

第1回 広義積分


§1 広義積分の定義

これまで有界閉区間において連続な関数の積分について述べてきたが、たとえば、次のような積分を考えてみる。
A)については被積分関数であるlogxx=0で定義されていない上に
でなく、(2)は有界閉区間でないので、この積分を定義できないし、形式的に
と計算することもできない。
しかし、
と考えることにより、その値を定めることができる。
このように拡張された積分を広義積分という。

aba<b)を実数、f(x)a<x≦bで定義された関数とする。a<a'<bの任意の実数a'に対して、f(x)a'≦x≦bで積分可能であるとする。このとき、
が有限に存在するならば、この値を
とあらわし、広義積分収束するという。または、f(x)a≦x≦b広義積分可能という。すなわち、
また、f(x)a≦x<bで定義されていて、任意のb'a<b'<b)に対してa≦x≦b'で積分可能であるとき、広義積分
と定義する。
f(x)a<x<bで定義されていて、任意のa'b'a<a'<x<b'<b)に対してa'≦x≦b'で積分可能であるとき、適当なca<c<b)をとり、広義積分
と定義する。

また、f(x)a≦x<∞で定義され、b>aである任意のbに対して、a≦x≦bで積分可能で
が有限な極限値をもつとき、これを
とあらわし、広義積分は収束する、または、f(x)a≦x<∞で広義積分可能であるという。
同様に、
と定義する。

広義積分が収束するとき、広義積分絶対収束するという。
広義積分は収束するが、広義積分が収束しないとき、広義積分条件収束するという。


§2 広義積分の計算例

問題1 次の広義積分の収束、発散を調べ、収束するものはその値を求めよ。
【解】
(1) だから広義積分。
t>0とすると
と収束するので、

(2) だから広義積分。
t>0とすると、
となり、発散する。

(3) t>1とすると
と収束するので、

(4) t>1とすると
と発散する。
(解答終了)


問題2 次の広義積分を求めよ。
【解】
(1) t>0とすると、
ロピタルの定理より
よって、
したがって

(2) だから広義積分。
t>0とすると
ここで、ロピタルの定理より
よって、
したがって、

(3) となり、広義積分。
0<t<1とすると、
したがって、

(解答終了)

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