2017年1月5日木曜日

第8回 チェビシェフの不等式と大数の法則

第8回 チェビシェフの不等式と大数の法則

チェビシェフの定理(チェビシェフの不等式)
確率変数Xの平均、標準偏差をそれぞれmσであるとすると、次の不等式が成り立つ。
ただし、kは任意の正の数とする。
これをチェビシェフの不等式という。
【証明】
確率変数Xの値がであるときの確率をそれぞれとすると、
そこで、に属するグループと、にわけると
そして、
(証明終了)

ベルヌーイの大数の法則
1回の試行において事象Aの起こる確率をpとし、n回の試行において事象Aの起こった回数をrとすると、任意の正数εに対して
である。
【証明】
Aの起こる確率分布は2項分布だから、平均、標準偏差は
チェビシェフの不等式
に代入すると、
それで、
よって、
εは任意の正数だから
とおくことができ、
したがって、
p.qεは正の定数だから
したがって、
である。
(証明終了)

n個の値の算術平均(相加平均)をmとし、標準偏差をsとするとき、これらのn個の内の不等式
よりも多い」
という定理を用い、ある学級の生徒数は280人で、その平均点は62点、標準偏差は4点であるという情報だけから54点と70点の何人より多く、また、50点と74点の間にあるものは何人より多いか判断せよ。
【解】
54≦x≦70のとき、m=62s=4だからk=2
したがって、
よって、210人より多い。
50≦x≦74のとき、k=3だから
したがって、248人より多い。
(解答終了)

得点を確率変数Xとする。Xの分布が正規分布に従っているとすると、
とおくと、Zは標準正規分布N(0,1)に従う。
だから、
したがって、54≦x≦74の区間にいる生徒数は
となり、約267人になる。
同様の計算をすると、50点と74点の区間にいる生徒数は279人となり、ほぼ全員、この区間に収まることになる。
ちなみに、70点は偏差値70、74点は偏差値80である。

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