2017年1月6日金曜日

第9回正規分布1

第9回正規分布1

§1 正規分布
1個のサイコロをn回振って、1の目が出る回数をXとすると、Xは2項分布に従う。
nn=10,20,30,40,50と変化させ、1の目のr回出る確率
を計算した結果を下図に示す。

nが大きくなるにつれて、折れ線グラフが次第に平均を中心とする左右対称な正規分布曲線
に近づいてゆく(ラプラスの定理、中心極限定理)。



正規分布

を確率密度関数とする確率分布を正規分布という。
ここで、mは平均値、σは標準偏差、σ²は分散で、この分布をであらわす。
特に、m=0σ=1のとき、N(0,1)標準正規分布という。
標準正規分布の確率密度関数は
である。
とおくと、
であり、このI(λ)確率積分という。


λの種々の値に対するI(λ)の値の表(正規分布表)の概略表を右に示す。
この表によると
したがって変量Xの値が
  m−σm+σの値にある確率は約0.6826
m−2σm+2σの値にある確率は約0.9544
m−3σm+3σの値にある確率は約0.9974


§2 正規分布の性質

確率変数Xが正規分布に従うとき、正規分布には次の性質がある。
また、
(4) Xが区間[a,b]に入る確率は
である。

問 N(10,4)においてを求めよ。

【考え方】
この計算をするためには、正規分布N(10,4)を標準正規分布に変換して計算をしなければならない。
そこで、
とおく。
このようにおくと
たとえば、Xが区間[a,b]に入る確率を求める場合、x=ax=bに対応するので、
となり、正規分布表を利用することができる。

【解】
正規分布N(10,4)だから、平均値m=10、分散σ²=4だから、標準偏差σ=2
とおくと、
(解答終了)



求めるのは、上図の斜線部であることに注意!!

(標準)正規分布表は、λ0以上のものなので、λ≧0のとき、
そして、λ<0のとき
と計算をしないといけないので、この点も注意が必要。

表計算ソフトを使って答えを求めるならば、たとえば、次のようにすればよい。

関数NORMDISTの書式は、たとえば、
NORMDIST(数値、平均、標準偏差)
である。
この問題の場合、
NORMDIST13102)
となる。
便利な時代になったものである。


正規分布表の使い方、見方がどうしてもわからない人は、表計算ソフトのNORMDIST関数を使ってもよい。

余談になるが、お馴染みの偏差値は
だから、X=13の偏差値は
となり、正規分布に従っているならば、上位約7%に入っていることになる。
偏差値70は約上位5%で、偏差値80は約0.1%である。


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