第14回 被覆とハイネ・ボレルの被覆定理
実数Rの部分集合Aがあって、Aが集合族で被われるとは、
であることをいい、このとき、を被覆という。
とくに、が開集合であるとき、Aの開被覆という。
また、Λが有限集合のとき、すなわち、が有限個のとき、Aの有限被覆という。
任意の開集合の集合族に対して、かならず、集合族の要素を適当に選んで
任意の開集合の集合族に対して、かならず、集合族の要素を適当に選んで
と有限個で被えるとき、Aをコンパクトという。
その集合がコンパクトであるかどうかということはとっても大切で、実数の場合は、閉集合がコンパクトな集合になる。
その集合がコンパクトであるかどうかということはとっても大切で、実数の場合は、閉集合がコンパクトな集合になる。
そして、ハイネ・ボレルの被覆定理というのは、閉集合がコンパクトであるということを指し示す定理である。
ハイネ・ボレルの被覆定理
Rの任意の閉集合[a,b]はコンパクトである。
ハイネ・ボレルの被覆定理
Rの有界閉集合が開被覆を有するならば、Uから有限のを選んで有界閉集合の有限被覆を作ることができる。
Rの有界閉集合が開被覆を有するならば、Uから有限のを選んで有界閉集合の有限被覆を作ることができる。
この証明には、ずっと前にやった、
で、かつ、
ならば、
という定理を使う。
と前置きして、いよいよ、この大定理に取り掛かる。
[a,b]という有限閉集合を考える。これは、a≦x≦bのこと。
この定理は正攻法での証明が難しいので、例によって、背理法を使う。
[a,b]という有限閉集合を考える。これは、a≦x≦bのこと。
この定理は正攻法での証明が難しいので、例によって、背理法を使う。
【証明】
[a,b]を有限被覆で覆えないとすると、
のうちのすくなくとも一方はUの有限個の開集合で被覆できない。その被覆できない閉区間をとする。
同様に、
同様に、
を考えて、有限個で被覆できないものをとする。
そして、これをさらに繰り返す。の次はというふうに、この操作を繰り返してゆく。
そうすると、次の閉区間の列ができる。
すると、
になる。
さらに、
となり、
となる。
そして、この実数cは、すべてのに共通の要素。
Uは[a,b]の開被覆だから、このcを含むUの開集合Oが存在する。
cは開集合Oの内点なのだから、
Uは[a,b]の開被覆だから、このcを含むUの開集合Oが存在する。
cは開集合Oの内点なのだから、
となる正の数εが存在する。
だから、十分大きなnをとると、
となる。
このことから、はUに属する一つの開集合Oで被覆され、有限個で被覆できないとした仮定に反する。
よって、有界閉区間は有限個の開集合で被覆できる。
(証明おわり)
何を書いているか、わからないことだろう。
これを書いている私ももわからないのだから(^^ゞ
この定理はヒトの理解を寄せ付けない。
この定理は、実数の連続性とほとんど同値だから、ヒトには理解できない。
そういうものですかと、ありがたがって頂くしか無い。
このハイネ・ボレルの被覆定理が成り立つのは、有界な閉集合の場合。例えば、[0,1]と言ったような閉集合、閉区間。
このハイネ・ボレルの被覆定理が成り立つのは、有界な閉集合の場合。例えば、[0,1]と言ったような閉集合、閉区間。
これを例えば、(0,1)というような開集合にしたら、成り立たない。
たとえば、
としたとき、これは開被覆になるのだけれど、有限個で(0,1)を被覆することはできない。
どうして、このハイネ・ボレルの被覆定理という難しい定理を引っ張り出してきたかというと、微分・積分で証明しなかった
関数f(x)が有界閉区間[a,b]で連続であるならば、f(x)は[a,b]で一様連続である
という定理の証明に必要だからだ。
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