2016年9月24日土曜日

第35回 反転

第35回 反転


§1 反転とは
中心O、半径rの円がある。Oとは異なる点Pを、半直線OP上にあり
を満たす点Qに移す。この変換を反転といい、Oを反転の中心、rを反転の半径という。

Pが円Oの内部にあるとき、すなわち、OP<rのとき
になるので、Qは円Oの外部にある。
Pが円周上にあるとき、つまり、OP=rのとき
なので、P=Qになる。
さらに、Pが円の外部にあるとき、OP>rのとき
になり、Qは円の内部にある。

反転円(反転の半径r)の中心O(0,0)、さらに点PQの座標をそれぞれP(x,y)Q(X,Y)とする。
Qは半直線OP上にあるので、ベクトルで書くと
となる実数kが存在する。
座標で書くと
となる。
よって、
したがって、
また、
とおき、同様の議論をすると、
という変換式が得られる。

反転によるPからQへの移動を
であらわすとすると、②が変換式になる。
また、②と③を使って反転の反転を実際に計算してみると、
となり、反転の反転は自分自身であることがわかる。
反転の定義式
からこのことはほとんど明らかなのだけれど、こういう関係がある。

§2 問題

抽象的な話をしてもピンとこないと思うので、次の問題を解いてみることにする。

問題1
座標平面上の点(1,0)を中心とし、半径2の円をCとする。座標平面上の円Cの外側にある点Pと原点Oを結ぶ線分が、円Cの周と交わる点をQとし、
f(P)であらわす。
(1) Pの座標が(4,2√3)であるとき、f(P)の値を求めよ。
(2) f(P)=3となるような点Pの軌跡の方程式を求めよ。
【解】
(1) 点(1,0)を中心とする半径2の円Cの方程式は
Q(x,y)とすると
より、
Qは、円Cの円周上にあるので
k>0なので、k=2

(2) 点Pと点Qの座標を(X,Y)(x,y)とする。
f(P)=3なので
Qは円Cの円周上の点なので
よって、
よって、
(解答終わり)

最後で、さり気なく(X,Y)(x,y)にすり替えるのがポイント(^^)

この問題の(1)の場合、
となり、反転円は原点Oを中心とする半径√14の円
であることがわかる。


問題2
xy平面上の原点O以外の点P(x,y)に対して、点Qを次の条件(A),(B)を満たす平面上の点とする。
 (A)  点Qは、原点Oを始点とする半直線OP上にある。
 (B)  線分OPの長さと線分OQの長さの積は1である。
問1 点Qの座標をxyを用いて表せ。
問2 点Pが円(x-1)²+(y-1)²=2上の原点以外の点を動くときの点Qの軌跡を求め平面上に図示しなさい。
【解】
(1) OPOQ=1=r²なので、反転円の半径r=1
①より

(2) Q(X,Y)とすると②より
これを
に代入する。
Pは原点以外の円周上の点なので、⑨より
よって、
ここで、さり気なくXYxyにすり替えて
が求める軌跡ということになる。


(解答終わり)

紫色の点が点Pの単位円に関する反転によって得られる点。
また、Qに対する反転はPになるので
を反転して得られる図形(反形)が
になる。

ここから一般論にもってゆくのは危険なのですが、このことから原点を通る円(原点は除く)の反形は原点を通る直線に、原点を通る直線(原点は除く)の反形が原点を通る円になることを理解してもらえるのではないか。

一般論は
ただし、原点は除くとすればいいにゃ。

原点を通る直線は、反転の定義から、それ自身に映ることは明らか。

原点を通らない円については次回ということで。

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