2018年3月14日水曜日

第6回 1次変換とベクトル

第6回 1次変換とベクトル


1次変換fによってベクトルがベクトルに写されるとき、fによるといい、
で表す。
また、1次変換fを表す行列がAであるとき、
で表す。

をベクトル、kを実数とするとき、
が成り立つ。

【補足】
fを集合Xから空でない集合Yへの写像とする。
x₁x₂∈Xkを実数とするとき、
が成り立つときfXからYへの線形写像という。
f(x)=axとすると、
したがって、線形写像、1次変換はf(x)=axの拡張になっていることが分かる。

問1 1次変換fによってベクトルがそれぞれに写されるとき、fを表す行列を求めよ。】

問2 ベクトルをそれぞれを写す1次変換fがある。fによる次のベクトルの像を求めよ。
【解】
1次変換fを表す行列をAとすると、
これを1本の式であらわすと、
したがって、
(解答終)

問3 1次変換fによって、異なる4点PQRSがそれぞれP’Q’R’S’に写されるとする。このとき、次のことを示せ。
(1) 線分PQm:nに内分する点Tは、fによって、線分P’Q’m:nに内分する点T’に写される。
(2) 
【略解】
PQRSの位置ベクトルを、それぞれ、とすると、点P’Q’R’S’の位置ベクトル

(1) 線分PQm:nに内分する点Tの位置ベクトルはであるから、fによる像は
したがって、線分PQm:nに内分する点Tは、fによって、線分P’Q’m:nに内分する点T’に写される。
(2) PQRSは平行だから、ある実数k≠0が存在して
である。
(略証終)

では、
互いに直交するベクトルの、1次変換fによる像をとするとき、は直交するだろうか。
1次変換fを表す行列をとすると、
つまり、一般に、1次変換によって直交性は保証されないことが分かる。

問4 平面上の点の写像によって、任意の点PQがそれぞれP’Q’に写されるとする。また、fによって原点Oは原点Oに写され、任意の実数mnm+n≠0)について、線分PQm:nの比に分ける点は線分P’Q’m:nの比に分ける点に写される。このとき、次のことが成り立つことを示せ。
【解】
とすると、題意より

(1) 線分OPk:1−kに内分する点の位置ベクトルは
したがって、

(2) 線分PQを1:1に内分する点の位置ベクトルは
したがって、P’Q’の中点の位置ベクトルは
(1)より
①と②より、
【解答終】


問題 次のうち、線形写像であるものはどれか。ただし、とする。
【解】
(1) 線形写像ではない。
なぜならば、

(2) 線形写像である。
なぜならば、

(3) 線形写像ではない。
とすると
①と②は一般に等しくないので、この写像は線形変換ではない。
(解答終)

問題の(3)は線形写像ではないけれど、
とすると、
が成立し、線形写像に近い性質を持っている。

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