第6回 1次変換とベクトル
1次変換fによってベクトルがベクトルに写されるとき、をfによるの像といい、
で表す。
また、1次変換fを表す行列がAであるとき、
で表す。
をベクトル、kを実数とするとき、
が成り立つ。
【補足】
fを集合Xから空でない集合Yへの写像とする。
x₁、x₂∈X、kを実数とするとき、
が成り立つときfをXからYへの線形写像という。
f(x)=axとすると、
したがって、線形写像、1次変換はf(x)=axの拡張になっていることが分かる。
問1 1次変換fによってベクトルがそれぞれに写されるとき、fを表す行列を求めよ。】
問2 ベクトルをそれぞれを写す1次変換fがある。fによる次のベクトルの像を求めよ。
【解】
1次変換fを表す行列をAとすると、
これを1本の式であらわすと、
したがって、
(解答終)
問3 1次変換fによって、異なる4点P、Q、R、SがそれぞれP’、Q’、R’、S’に写されるとする。このとき、次のことを示せ。
(1) 線分PQをm:nに内分する点Tは、fによって、線分P’Q’をm:nに内分する点T’に写される。
(2)
【略解】
点P、Q、R、Sの位置ベクトルを、それぞれ、とすると、点P’、Q’、R’、S’の位置ベクトルは
(1) 線分PQをm:nに内分する点Tの位置ベクトルはであるから、fによる像は
したがって、線分PQをm:nに内分する点Tは、fによって、線分P’Q’をm:nに内分する点T’に写される。
(2) PQとRSは平行だから、ある実数k≠0が存在して
である。
(略証終)
では、
互いに直交するベクトルの、1次変換fによる像をとするとき、とは直交するだろうか。
1次変換fを表す行列を、とすると、
つまり、一般に、1次変換によって直交性は保証されないことが分かる。
問4 平面上の点の写像によって、任意の点P、QがそれぞれP’、Q’に写されるとする。また、fによって原点Oは原点Oに写され、任意の実数m、n(m+n≠0)について、線分PQをm:nの比に分ける点は線分P’Q’をm:nの比に分ける点に写される。このとき、次のことが成り立つことを示せ。
【解】
とすると、題意より
(1) 線分OPをk:1−kに内分する点の位置ベクトルは
したがって、
(2) 線分PQを1:1に内分する点の位置ベクトルは
したがって、P’Q’の中点の位置ベクトルは
(1)より
①と②より、
【解答終】
問題 次のうち、線形写像であるものはどれか。ただし、とする。
【解】
(1) 線形写像ではない。
なぜならば、
(2) 線形写像である。
なぜならば、
(3) 線形写像ではない。
とすると
①と②は一般に等しくないので、この写像は線形変換ではない。
(解答終)
問題の(3)は線形写像ではないけれど、
とすると、
が成立し、線形写像に近い性質を持っている。
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