2018年3月25日日曜日

第2回 差集合

第2回 差集合


§1 集合の差

ABを集合とする。
x∈Aであるがx∈Bでないではないx全体からなる集合、すなわち、
ABとの差集合または差といい、記号
または
などであらわす。

差集合の定義から明らかであるが、
【略証】
x∈A−Bとすると、x∈Aかつx∉Bなので、x∈Aである。
故に、
(略証終)

例1 Aを自然数全体の集合、Bを偶数全体の集合とすれば、A−Bは奇数全体の集合

例2

§2 空集合

A={1, 2, 3}B=1, 2, 3, 4, 5}とする。
このとき、
であるが、AAの差集合A−AABの差集合は、要素をなにも持たない集合となる。
このように、要素を何ももたない集合を空集合といい、記号
または{}
であらわす。
さらに、いかなる集合Aに対して
と定義する。
また、
と定義する。

Aを任意の集合とするとき、次の式が成立することは明らかであろう。

問1 A⊂Bならば、A−C⊂B−Cであることを示せ。
【解】
A−C=空集合ならば、A−C⊂B−Cは明らか。
そこで、A−C≠∅とする。x∈A−Cだから、x∈Aかつx∉C
A⊂Bだから、x∈Bかつx∉C。したがって、x∈B−C
ゆえに、
A⊂Bならば、A−C⊂B−C
(解答終)

問2 A−B=∅であるための必要十分な条件はA⊂Bであることを示せ。
【解】
ABが∅のときは明らか。
A≠∅B≠∅とする。
A−B=∅は、x∈Aかつx∉Bなるxがないことで、x∈Aならばx∈Bであることに他ならない。
したがって、
(解答終)

問3 空集合∅は1つであることを示せ。
【解】
∅₁、∅₂は空集合とする。すると、
よって、空集合は1つである。
(解答終)

§3 補集合

BAの部分集合である場合、ABとの差を、BAに関する補集合(Complementary Set)という。
Aが空集合でない場合、Aの要素は、Bに属するか、A−Bに属するかのいずれか一方だけが成立する。
すなわち、次の関係が成り立つ。
 (1) x∈Aならば、x∈Bまたはx∈A−B
 (2) x∈Bならばx∉A−B
 (3) x∈A−Bならばx∉B
また、
Aに関するAの補集合は空集合∅であり、Aに関する空集合∅の補集合はAである。

定理3 A⊃BならばA−(A−B)=Bである。
【証明】
A−B=Cとする。
まず、A−C⊂Bであることを示す。
A−C=∅であるならば、A−C⊂B
A−C≠∅のとき、
x∈A−Cとすると、x∈Aかつx∉C、すなわち、x∈Aかつx∉A−B。よって、x∈B
ゆえに、
  A−C=A−(A−B)⊂B
つぎに、B⊂A−Cであることを示す。
B=∅ならばB⊂A−C
B≠∅のとき、
x∈Bとすると、x∈Aかつx∉A−B、すなわち、x∈Aかつx∉C。ゆえに、x∈A−C
したがって、
  B⊂A−C=A−(A−B)
よって、
A⊃BならばA−(A−B)=B
(証明終)

定理3の逆、
A−(A−B)=BならばA⊃B
が成立するので、
A−(A−B)=BA⊃Bの必要十分な条件である。

対象となる集合が、固定された集合Xの部分集合であるとき、Xを普遍集合(Universal Set)という。A⊂Xのとき、集合AXに関する補集合を単に補集合といい、記号
であらわす。
すなわち、
普遍集合Xと空集合∅の補集合は、
となることより、

問題4 定理3の逆
  A−(A−B)=BならばA⊃B
を証明せよ。


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