第10回 直交行列
問題 行列による1次変換を考える。は任意の列ベクトルとし、列ベクトルとする。いまとの絶対値が等しくなる行列Aの集合をMとする。
このとき、次の問に答えよ。
(1) A∈Mとなるための必要十分な条件をa、b、c、dを用いて表わせ。
(2) A∈M、ならばとの内積ととの内積が等しいことを示せ。
(3)
A∈Mのとき、逆行列を求めよ。
【解】
(1) とすると、
より、任意のx₁、x₂に対して
が成立しないといけないので、
でなければならない。
逆に、ならば。
(2) とすると、
(3)
したがって、
(解答終)
この条件は、1次変換を表す行列の列ベクトルが単位ベクトルで、互いに直交していることを示している。このような行列を直交行列といい、直交行列で表される1次変換は、線分の長さや角の大きさを変えない合同変換で、これを直交変換という。
、さらに、とすると、との内積は
と表すことができる。
したがって、
としたとき、との内積は
となる。
したがって、
となる、
だとすると、
ここで、Eは単位行列である。
任意のベクトルについて(3)が成り立つためには、
でなければならない。
逆に、(4)が成立するとき、
(1)より、
となる。
以上のことから、
であることがわかる。
とすると、
つまり、Aが直交行列であることとは同値であることが分かる。
また、このことから、
であること、であることから、
である。
これらは、2次の正方行列に限らず、n次の正方行列に関しても成り立つ性質である。
特に、Aが2次の正方行列であるとき、Aは
のいずれの形で表すことができる。
は原点を中心にθ回転させる1次変換を表す行列であり、は原点を通る直線に関しての折り返しを表す行列である。
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