第6回 直積
平面上に互いに直交する2直線をとり、それぞれをx軸、y軸と名づけ、それをもとに座標平面上の点に座標(a,b)を与えることができる。
この座標においてもっとも重要なことは、(a,b)と(b,a)の区別である。何故ならば、(a,b)が表す点と(b,a)が表す点は、a=bでないかぎり、異なる点であるからである。
一般に、2つのものa、bから作られた(a,b)を、aとbから作られた順序対という。そして、2つの順序対(a,b)と(a',b')とが等しいのは、a=a'かつb=b'と定義する。
(a,b)と(a',b'が等しいことを
と表し、(a,b)と(a',b')が等しくないことを
と表す。
A、Bを集合とする。Aの要素aとBの要素bから作られた順序対(a,b)全体の集合を、AとBの直積といい、記号A×Bで表す。
すなわち、
例 A={1,
2}、B={a,
b, c}ならば
である。
Aの要素の数がm、Bの要素の数がnならば、直積A×Bの要素の数はmnである。
AとBのいずれかが空集合であるとすると、Aの要素とBの要素とから作られる順序対は存在しない。したがって、このとき、直積A×Bは空集合である。
すなわち、
さらに、n個の集合について、各から1つずつ要素をとり、組を作る。そして、とが等しいのはの場合に限ると定義する。このような組の全体の集合を、の直積といい、と表す。
特に、であるとき、であらわす。
(補足)
さらに、I={1,
2, 3, ・・・,
n}とし、
などと書く場合がある。
そして、いきなり、選択公理!!
選択公理
Λ≠∅かつすべてのλ∈Λに対して、集合であるならば、
である。
(1)からの類推として、選択公理は直観的に明らかだが・・・。
定理11 A、B、Cを任意の集合とするとき、次のことが成り立つ。
【証明】
(証明終)
AからBへの写像をfとすれば、Aの任意の要素aとfによる像f(a)から作られる順序対(a,f(a))の全体の集まりは、直積A×Bの部分集合になる。これをfのグラフといい、記号などで表す。
すなわち、
である。
0 件のコメント:
コメントを投稿