2018年3月29日木曜日

第6回 直積

第6回 直積


平面上に互いに直交する2直線をとり、それぞれをx軸、y軸と名づけ、それをもとに座標平面上の点に座標(a,b)を与えることができる。
この座標においてもっとも重要なことは、(a,b)(b,a)の区別である。何故ならば、(a,b)が表す点と(b,a)が表す点は、a=bでないかぎり、異なる点であるからである。
一般に、2つのものabから作られた(a,b)を、abから作られた順序対という。そして、2つの順序対(a,b)(a',b')とが等しいのは、a=a'かつb=b'と定義する。
(a,b)(a',b'が等しいことを
と表し、(a,b)(a',b')が等しくないことを
と表す。

ABを集合とする。Aの要素aBの要素bから作られた順序対(a,b)全体の集合を、AB直積といい、記号A×Bで表す。
すなわち、

例 A={1, 2}B={a, b, c}ならば
である。

Aの要素の数がmBの要素の数がnならば、直積A×Bの要素の数はmnである。

ABのいずれかが空集合であるとすると、Aの要素とBの要素とから作られる順序対は存在しない。したがって、このとき、直積A×Bは空集合である。
すなわち、

さらに、n個の集合について、各から1つずつ要素をとり、組を作る。そして、が等しいのはの場合に限ると定義する。このような組の全体の集合を、直積といい、と表す。
特に、であるとき、であらわす。

(補足)
さらに、I={1, 2, 3, ・・・, n}とし、
などと書く場合がある。

そして、いきなり、選択公理!!

選択公理
Λ≠∅かつすべてのλ∈Λに対して、集合であるならば、
である。

(1)からの類推として、選択公理は直観的に明らかだが・・・。


定理11 ABCを任意の集合とするとき、次のことが成り立つ。
【証明】
(証明終)

AからBへの写像をfとすれば、Aの任意の要素afによる像f(a)から作られる順序対(a,f(a))の全体の集まりは、直積A×Bの部分集合になる。これをfグラフといい、記号などで表す。
すなわち、
である。


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